WordPressサイトを運営していると、記事執筆に付随する画像アップロード作業に多くの時間を費やしていませんか。
1枚ずつ画像を選び、アップロードし、タイトルや代替テキストを設定する。
この単調な作業は、コンテンツ制作のクリエイティブな流れを止めてしまいがちです。
もし、この一連の画像登録作業を完全に自動化できるとしたら、あなたのブログ運営はどれほど効率的になるでしょうか。
この記事では、iPaaS(Integration Platform as a Service)と呼ばれるクラウドサービスの一種である「n8n」を使い、WordPressのメディアライブラリへ画像を直接、かつ自動でアップロードする具体的な方法を、専門家が実践するテクニックも交えて詳しく解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたは面倒な手作業から解放され、コンテンツ制作そのものにもっと集中できるようになるでしょう。
※この記事で解説する情報は、2026年1月時点のものです。
n8nによる画像アップロード自動化がもたらす革新的なメリット
なぜ、多くのWebサイト運営者がn8nを使った画像アップロードの自動化に注目しているのでしょうか。その理由は、手動での作業が抱える潜在的な課題と、自動化がもたらす計り知れないメリットにあります。
手動アップロードの最大の課題は、時間的コストです。1記事あたり5枚の画像を登録する場合、1枚あたり2分かかるとすれば、それだけで10分の時間が必要です。これが週に5記事となれば約1時間、月間で4時間以上を画像登録だけに費やす計算になります。また、大量の画像を扱うキャンペーンサイトやイベントレポートでは、その負担はさらに増大します。手作業はヒューマンエラーの温床にもなります。ファイル名の付け間違い、アップロード先フォルダの誤り、代替テキストの入力漏れなど、小さなミスが積み重なり、サイトの品質やSEOに悪影響を及ぼす可能性も否定できません。
一方、n8nでこのプロセスを自動化すると、これらの課題は劇的に改善されます。
- 圧倒的な時間短縮: ワークフローを一度設定すれば、あとはn8nが24時間365日、あなたに代わって作業を実行します。これにより創出された時間を、より質の高い記事の執筆やマーケティング戦略の策定など、本来注力すべき業務に充てられます。
- 品質の均一化とミスの撲滅: 事前に定義したルールに基づき処理が実行されるため、命名規則や代替テキストの設定などを常に一定の品質で担保できます。手作業特有の「うっかりミス」は発生しません。
- コンテンツ制作の高速化: 特に速報性が求められるニュースサイトやイベントレポートでは、撮影した画像を即座に指定のクラウドストレージに保存し、そこからn8nが自動でWordPressに登録する、といった連携が可能です。これにより、コンテンツ公開までのリードタイムを極限まで短縮し、競合に対する優位性を確立できます。
このように、n8nによる自動化は単なる「作業の置き換え」ではありません。それは、コンテンツ制作のワークフロー全体を再構築し、生産性と品質を飛躍的に向上させるための戦略的な投資なのです。次のセクションでは、この強力な自動化を実現するための具体的な準備に取り掛かりましょう。
準備編:WordPressとn8nを安全に連携させるための初期設定
n8nとWordPress間で安全なデータ連携を行うためには、双方で適切な設定が必要です。特に、WordPressサイトへのアクセス権限を管理することはセキュリティ上非常に重要です。ここでは、そのための「アプリケーションパスワード」の生成と、n8n側での認証情報の設定方法をステップバイステップで解説します。
WordPress側の設定:アプリケーションパスワードの生成
通常のログインパスワードを外部サービスに直接使用するのは、セキュリティリスクを高めます。そこでWordPressでは、外部アプリケーション連携専用の「アプリケーションパスワード」を生成する機能が用意されています。これにより、万が一パスワードが漏洩しても、影響範囲をそのアプリケーションだけに限定でき、いつでも無効化できます。
- WordPressの管理画面にログインし、左側のメニューから「ユーザー」>「プロフィール」を選択します。
- プロフィール画面を下にスクロールし、「アプリケーションパスワード」のセクションを見つけます。
- 「新しいアプリケーションパスワード名」の欄に、どの連携に使うパスワードか分かりやすい名前(例: n8n-image-upload)を入力します。
- 「新しいアプリケーションパスワードを追加」ボタンをクリックします。
- 新しいパスワードが生成され、画面に表示されます。このパスワードはこの一度しか表示されません。必ず安全な場所にコピーして保管してください。スペースを含んだ形式で表示されますが、スペースも含めてそのままコピーします。
これでWordPress側の準備は完了です。このアプリケーションパスワードは、n8nがあなたの代わりにWordPressへ安全にログインするための「合鍵」の役割を果たします。
n8n側の設定:WordPress接続用クレデンシャルの作成
次に、n8nのワークフロー内で先ほど生成したアプリケーションパスワードを使ってWordPressに接続するための認証情報(Credential)を作成します。
- n8nのワークフローエディタを開き、HTTP Requestノードを追加します。
- ノードの設定画面で、「Authentication」のドロップダウンから「Header Auth」を選択します。
- 「Credentials」の右側にある「- Create New -」をクリックします。
- ダイアログが表示されたら、以下のように設定します。
- Name:
Authorization - Value: ここに、特別な形式で認証情報を入力します。
Basic(Basicと末尾の半角スペースを忘れずに)に続けて、ユーザー名:アプリケーションパスワードという文字列をBase64でエンコードしたものを貼り付けます。
- Name:
- 例えば、ユーザー名が「admin」、アプリケーションパスワードが「abcd efgh ijkl mnop qrst uvwx」の場合、「
admin:abcd efgh ijkl mnop qrst uvwx」という文字列をBase64エンコードします。オンラインのエンコードツールなどを使うと簡単に変換できます。変換後の文字列(例: `YWRtaW46YWJjZCB…`)をValue欄の`Basic `の後ろにペーストします。 - 最後に「Save」を押し、分かりやすい名前(例: My WordPress Auth)を付けてクレデンシャルを保存します。
これで、n8nからWordPress REST APIへ安全にリクエストを送る準備が整いました。一度このクレデンシャルを作成すれば、他のワークフローでも再利用でき、非常に効率的です。
実践編:n8nで画像アップロードのワークフローを構築する
準備が整ったので、いよいよn8nで実際に画像をアップロードするワークフローを構築していきます。ここでは、指定したURLから画像をダウンロードし、WordPressのメディアライブラリに登録するという、最も汎用的なシナリオを例に解説します。ワークフローの全体像は「トリガー → 画像取得 → WordPressへアップロード」というシンプルな流れです。
Step 1: 画像データを取得する (HTTP Requestノード)
まず、インターネット上にある画像ファイルを取得します。この処理にはHTTP Requestノードを使用します。
- 新しいHTTP Requestノードをワークフローに追加し、分かりやすい名前(例: Get Image from URL)を付けます。
- URL: アップロードしたい画像のURLを入力します。動的にURLを指定したい場合は、Expressionを使って前のノードからデータを引き継ぐことも可能です。
- Authentication: 通常、公開されている画像の取得に認証は不要なので「None」のままで問題ありません。
- Response Format: これが非常に重要な設定です。ドロップダウンから「File」を選択してください。これにより、n8nは画像データをバイナリファイルとして内部的に保持します。
このノードを実行すると、後続のノードで扱えるバイナリデータとして画像が取得できます。
Step 2: WordPress REST APIで画像をアップロードする (HTTP Requestノード)
次に、取得した画像データをWordPressに送信します。ここでもHTTP Requestノードを使いますが、設定が少し専門的になります。
- さらに新しいHTTP Requestノードを追加します。
- Method:
POSTを選択します。 - URL: WordPressのメディア用APIエンドポイントを指定します。
https://your-domain.com/wp-json/wp/v2/mediaのように、ご自身のサイトURLに書き換えてください。 - Authentication: 「Header Auth」を選択し、「Credentials」で準備編で作成したWordPress用の認証情報を選択します。
- Send Body: この設定はチェックを入れたままにします。
- Body Content Type: 「No Body」を選択します。「なぜBodyを送るのにNo Body?」と疑問に思うかもしれませんが、これは後述するバイナリデータ送信設定の仕様です。
- 画面下部の「Options」セクションを開きます。
- 「Send Binary Data?」のトグルをON(有効)にします。これがこのワークフローの核心部分です。
- 「Input Data Field Name」という新しい入力欄が表示されるので、ここに前のノード(Get Image from URL)で取得したバイナリデータのフィールド名を入力します。通常はデフォルトの「
data」で問題ありません。 - 「File Name in Body」の欄には、WordPress APIがファイルデータを受け取るために要求するキー名である「
file」と入力します。
この設定により、n8nは前のノードで取得したバイナリデータを、WordPress APIが解釈できる`multipart/form-data`形式で自動的に送信してくれます。`Body Content Type`を`No Body`に設定したのは、この`Send Binary Data?`機能に送信処理を完全に任せるためです。
Step 3: (応用) アップロード後のメタ情報を設定する
画像をアップロードするだけでは、SEO対策として不十分です。代替テキスト(alt)やタイトルは非常に重要です。アップロードに成功すると、Step 2のノードは登録されたメディアの情報(ID、URLなど)をJSON形式で返します。このIDを利用して、メタ情報を更新しましょう。
- さらにHTTP Requestノードを追加します。
- Method:
POST(またはPUT)を選択します。 - URL: Expressionを使い、
https://your-domain.com/wp-json/wp/v2/media/{{ $json.id }}のように、Step 2のノードから返されたIDを動的に埋め込みます。 - Authentication: 同様にWordPress用の認証情報を設定します。
- Body Content Type: 「JSON」を選択します。
- Body: Add Fieldを押し、更新したい項目と値を設定します。例えば、以下のように設定できます。
- Key:
alt_text, Value:ここに設定したい代替テキスト - Key:
title, Value:ここに設定したいタイトル - Key:
caption, Value:ここに設定したいキャプション
- Key:
この追加のステップにより、画像アップロードからSEOに配慮したメタ情報の設定まで、一連の流れを完全に自動化できます。これで、あなたのコンテンツ制作プロセスはさらに洗練されるはずです。
まとめ:今日から始めるコンテンツ制作の自動化
この記事では、n8nを活用してWordPressへの画像アップロードを自動化する具体的な手順と、その背景にある考え方までを詳しく解説しました。手動でのアップロード作業がいかに多くの時間を奪い、ミスを誘発するか、そして自動化がもたらす時間的・品質的メリットがいかに大きいかをご理解いただけたかと思います。
今回構築したワークフローは基本形ですが、これを応用すれば、Google DriveやDropboxの特定フォルダに画像が追加されたのをトリガーにしたり、AIで画像の内容を解析して自動で代替テキストを生成したりと、さらに高度な自動化も実現可能です。
n8nには、今回紹介した画像アップロード以外にも、アイデア次第でビジネスのあらゆる場面に応用できる無限の可能性があります。もし、あなたがn8nの持つポテンシャルに興味を持ち、より深く学びたい、他の業務も自動化してみたいとお考えなら、n8nの基本から応用事例までを網羅的に解説した「n8n完全ガイド記事」もぜひご覧ください。あなたの自動化への旅を力強くサポートします。
まだn8nを試していない方は、無料プランからでも十分にその力を体感できます。n8n公式サイトでアカウントを作成し、今日からあなたのビジネスの非効率を解消する、業務自動化の第一歩を踏み出しましょう。