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注目のフードシェアリングサービスとは?飲食店のフードロス(食料廃棄)問題を解決するフードシェアリングの課題と未来を考える。

飲食店にとって、フードロス(食料廃棄)の問題は非常に厄介です。(スーパー、コンビニなど食料品を扱う事業者も同様に)

 

「フードロス」とは、食べられるのに捨てられてしまう食品のことをいいます。

飲食店にとって、売れ残りなどのフードロスが増えると、お金を払って手に入れた食材を無駄にしてしまいますし、業務ゴミとしてゴミ処理をするにもお金がかかります。

さらには、気持ちを込めて作った料理が誰にも食べてもらえずゴミになってしまう精神的なショックもあります。(手づくりのお店にとっては経済的損失もショックですが、このショックがかなりでかいです。)

飲食店にとって、デメリットだらけのフードロス。

 

当然、どの飲食店もできるだけフードロスを減らしたいのですが、例えば、スーパーの閉店間際の弁当半額セールのような安売りをしてしまうと売れ残りは減るけどマイナスイメージや通常価格で売れなくなってしまう不安などがあり、なかなか実施ができなかったりと、これは一例ですが、たくさんの要因があってフードロスを減らしたくても減らせないジレンマがあります。

宴会やコース料理など予約制の集客であれば、ぴったりの食材を用意してフードロスを減らすことは可能ですが、ほとんどの飲食店にとっては来客数が正確に予測できない来店型であるために、フードロス問題は解決できない問題となっています。

 

具体的には、

・正確な来客予測が難しいので、常に豊富なメニュー、食材在庫が必要

・突発的な予約のキャンセル

・フードロスを意識して食材を少なめにしてしまうと売り切れや品揃えが悪いマイナスイメージが起こりうる

等々、他にもたくさんありますが、フードロスには複数の要因が絡み合っています。

 

そんなフードロス問題を解決するサービスとして、2017年後半から2018年初めにかけて2つのフードシェアリングサービス「TABETE」「ReduceGO」が立ち上がりました。2018年から2019年にかけて、「FOOD PASSPORT」「Otameshi」といった多様なサービスが出てきています。

 

フードシェアリングサービスとは、

「フードロスを減らしたいお店(飲食店や小売店など)」

「利用者は安価に美味しい食品を購入できて、なおかつ、フードロス問題の解決として社会貢献につながる」

といったお店の余剰食品と利用者をマッチングするサービスです。

 

お店側は、フードロスを減らすとともに、余剰食品を安価に販売する形で大きな金額ではないものの収益につなげることができます。

コストが収益に変わるわけですから、お店にとっては魅力的なサービスと言えるでしょう。

 

「TABETE」「ReduceGO」「FOOD PASSPORT」「Otameshi」のサービス内容については、後述でご紹介しますが、

「TABETE」は、お店の売れ残りなどの余剰食品を安価に購入できるサービス。

「ReduceGO」は、サブスクリプション型の定額制で、月額1,980円で1日2回までお店の売れ残りなどの余剰食品をもらえるサービス。

「FOOD PASSPORT」は、月額定額制で飲食店の余剰食材を使ったおまかせメニューを格安で食べれるサービス。

「Otameshi」は、パッケージ変更品、外装打痕品、賞味期限間近商品などの品質には問題ない”訳アリ品”を定価の半額以下で提供しているサービス。

 

これまでも、フードロスを減らしたいお店と、利用者をマッチングするサービスはアプリではなくwebサイトベースでたくさんありましたが、どれも普及して成功と言えるサービスはありませんでした。

しかし、スマホの普及と、そのテクノロジーの活用によって、閉店間際などに余剰食品が発生したお店と、近くにいる利用者をスマホのアプリケーションでマッチングできるフードシェアリングサービスは今のタイミングで登場したことは必然であり、今後の普及が期待できるので注目しています。

 

今回は、これから発展が期待できるフードシェアリングサービスの紹介と、フードシェアリングサービスの課題と将来性について考えをまとめたいと思います。

今注目のフードシェアリングサービスとは?

飲食店のフードロス問題の現状

飲食店を取り巻くフードロス問題の現状を整理しておきます。

画像出典:TABETE

 

日本のフードロスの量は、年間621万トン。

そのうち、

・一般家庭:約282万トン

・食品産業:約339万トン

 

食品産業のフードロス約339万トンのなかでも、外食産業で発生するフードロスの量は約120万トン。

これは国内全体のフードロス約621万トンの約20%に相当します。(フードロス量の情報元:環境省webサイト

 

621万トン、120万トンと言われても、いまいちピンときませんよね。

画像出典:TABETE

 

全世界の食糧援助量が約320万トン。

フードロス問題は、日本に限ったことではありませんが、フードロスによって失われている食料の量のインパクトがわかる数字です。

 

外食産業のフードロス問題に対して、これまでの政府の取り組みとしては、

・「食べきりの促進」

・「食べ残し量の持ち帰りは自己責任の範囲で」

この2つの食べきりと持ち帰りの促進をしてきましたが、

 

今回この記事でご紹介するフードシェアリングサービスは、

・「売れ残り食品とそれを欲しい消費者をマッチングする」

という新たな解決方法となり得るサービスです。

フードシェアリングサービスとは?

最近では様々なシェアリングサービスが世の中に出てきています。

シェアリングサービスとは、モノやサービスなどを所有するのはでなく、ITテクノロジーを使って情報共有して、必要な人が必要な時に必要なモノやサービスを利用するサービスのことを指します。

代表的なシェアリングサービスとして、自宅の空きスペースや使ってない家など貸したい人と宿泊したい人をマッチングするサービス「Airbnb」やタクシーの配車サービス「UBER」など、他にも様々なサービスが出てきています。

 

フードシェアリングサービスは、それらのフード版。

 

飲食店の「売れ残り食品を減らしたい」という悩みを、「安価に美味しい料理が購入できる」「地球環境への配慮にもつながる」といったメリットを消費者に伝え、うまくマッチングします。

従来も同様のマッチングサービスはありましたが、食品はすぐに傷んでしまうものなので、瞬時にマッチングできないと成立が難しく広く普及するまでには至りませんでした。

それが、スマホの普及によって、瞬時にマッチングできるようになったというわけです。

フードシェアリングサービスを利用するメリット

さて、ここではフードシェアリングサービスのメリットを整理します。

後述のフードシェアリングサービス「TABETE」のwebサイトで紹介されている説明がわかりやすかったので引用します。

画像出典:TABETE

 

①飲食店、事業者にとってのメリット

・お店の食品廃棄削減

・売上UP/コスト削減

・ブランド力UP

・新規顧客獲得

 

②消費者にとってのメリット

・手軽に社会貢献

・新しいお店を発見

・おいしい食事を安価に購入

 

③地球環境にとってのメリット

・フードロスの削減

・エネルギー効率UP

・市民の社会的意識向上

 

フードシェアリングサービスが、三者にとってメリットがある仕組みであることは間違いないでしょう。

 

ただ、個人的には、消費者、環境にとってのメリットに異論はありませんが、飲食店にとってのメリットには一部違う意見があります

・お店の食品廃棄削減

・売上UP/コスト削減

これらのメリットは間違いなく、

・ブランド力UP

このメリットもフードロス削減に積極的ということでポジティブなイメージがあるので問題ありません。

 

ちょっと違うかなと思ったのは、

・新規顧客獲得

このメリットです。

フードシェアリングサービスの利用者が通常の新規顧客につながる可能性はゼロでは決してありませんが、あまり期待はできない効果だと思っています。

理由は、通常の価格で食事に来る顧客と、安価なフードロスの食事を取りに来る顧客は、一致しないことが多いからです。

取り組みや食事の美味しさに感動してお店のファンにでもならない限り、なかなか新規顧客獲得につなげるのは難しいのではないかと思います。

フードシェアリングサービスを利用すれば、フードロスも多少なり売上になるので利用者が新規顧客であるという見方もできますが、ここでは通常の顧客になり得るかの視点で説明しています。

フードシェアリングサービスの事例

TABETE

TABETE公式サイト

TABETEは、ユーザーは、近くのレストラン、飲食・小売店で余してしまいそうな食品を安価に購入することができます。

お店は、初期費用や月額費用は0円でかからず、余剰食品が売れた場合にのみ、販売金額に応じて手数料(35%)をTABETEに支払います。

ReduceGO

ReduceGO公式サイト

ReduceGOは、2018年4月にサービススタート。

ユーザーは、近くのレストラン、飲食・小売店で余してしまいそうな食品を、月額定額で受け取ることができます。

ユーザーの利用料金は、サブスクリプション型の定額制で、月額1,980円で毎日2回注文ができて、登録飲食店から売れ残り食品がもらえます。

お店は、初期費用や月額費用は0円でかからず、余剰食品を提供する代わりに定額のユーザー利用代金が分配される形で収益をあげることができます。

ユーザーの利用料金の39%をReduceGO収益、2%を社会活動団体へ寄付、残りの59%を加盟店へ分配して還元するという仕組み。

以下の条件の場合、毎月10,000円〜30,000円の追加収益を見込めるとのことです。

・すべてのお店が1日あたり平均5個の食品をご提供いただいた場合

・上記例はご利用の際の目安となります。金額をお約束するものではないことをご了承ください。

・還元金のお受取り条件として、1日に1つ以上の食品を8日以上ご提供いただく必要があります(翌月に繰り越すこともできます)

定額制のサービスのため、提供する余剰食品の価格設定が不要、値引き販売ではないのでマイナスイメージの影響も少なそう、などのメリットがあります。

2019年6月時点では、東京都23区内に対応しています。登録店舗は約30店舗。店舗、対応エリアは順次拡大予定。

FOOD PASSPORT

 

FOOD PASSPORT公式サイト

FOOD PASSPORTは、月額定額制で飲食店の余剰食材を使ったおまかせメニューを格安で食べれるサービスです。

月額980円で、登録されている飲食店の余剰食材を使ったおまかせメニューを1日1回、月に10回利用ができるので、1食あたり98円。

2019年6月時点では、関西圏でサービス提供しており、今後、全国展開予定です。

Otameshi

Otameshi公式サイト

Otameshiは、パッケージ変更品、外装打痕品、賞味期限間近商品等の品質には問題ない”訳アリ品”を定価の半額以下で提供しているサービスです。

従来であれば、品質には問題ないのに店頭で販売ができずに廃棄されていた商品をリーズナブルに購入できるので、社会貢献をかねて、お得に買い物ができる”社会貢献型サンプリングサイト”として注目を集めています。

フードシェアリングサービスの未来を考える

フードシェアリングサービスの課題

ここまで紹介してきたフードシェアリングサービスは、一見まったく課題がない優れたビジネスモデルのようにも思えますが、実際にはそう簡単な話でもありません。

 

まず最初に出てくる大きな課題は、ユーザーと登録店舗を同時にそれなりの数を確保しないとサービス自体が回り始めません。

例えば、ReduceGOに月額1980円で登録しても、自宅の近くに全然登録店舗がなくて使う時がない、という状況だったらユーザーはすぐに解約してしまうでしょう。利用するユーザーが少なければ、当然店舗もフードロス削減と収益が期待できないので登録しない、という悪循環に陥ります。

TABETEの販売型にしても同様です。販売店舗が少なければユーザーはサービスを利用しないですし、買ってくれるユーザーが少なければ店舗もサービスに登録したいと思います。

どのサービスにもあてはまりますが、まずは一定数のユーザーと登録店舗の確保が最初の課題となるでしょう。

 

次に想定される課題として、登録店舗によって提供される余剰食品の品質に差が発生してしまうこと。これはしょうがないことではありますが、簡単に見逃すこともできない問題です。

人気のあるお店は問題ないですが、人気がないお店にとっては余剰食品を登録しても誰ももらってくれない、買ってくれない、という状況が容易に発生しうる仕組みです。つまり、うまくサービスの仕組みを作らないと、登録店舗が増やすこと自体がけっこう難しいということです。

参加店舗を審査制にして一定の品質以上の店舗を集めるか、または、登録のハードルは低くして自然競争に委ねるか。サービス運営の手腕が試されるところでしょう。

 

あとは、余剰食品の提供がお店にとってマイナスイメージにはならないと、TABETEもReduceGO、どちらも宣伝文句としていますが、お店にとっては心理的なハードルは変わらず高いと思われます。

余剰食品の提供に思った以上の手間がかかってしまって収益を考慮しても割に合わない可能性もありますし、マイナスイメージにつながる不安、など心理的なハードルを解消して登録してもらう必要があります。

 

ここで挙げた課題は実際のサービスの課題のごく一部だと思いますが、とにもかくにも、まずはユーザー、お店、どちら側にもメリットがあるという実際の成功事例を作ることが先決です。

フードシェアリングサービスの未来

さて、最後にフードシェアリングサービスの未来について考えてみたいと思います。

 

今回ご紹介した「TABETE」「ReduceGO」どちらも2018年4月からスタートしたばかり。これからが注目、期待される分野です。

これから様々な課題や問題が出てくると思いますが、現状では、「ReduceGO」の月額課金制のサブスクリプションモデルの方が、店舗の余剰食品のフードシェアリングにおいては相性がよいと思います。

 

ユーザー側が販売価格で選ぶ必要がないこと。

店舗側も価格設定が不要で、余剰食品を提供しやすい、登録店舗すべてが同条件で提供しているのでマイナスイメージもつきにくそう。

といった点からそう考えます。

 

短期間のうちに、爆発的に普及することはなさそうですが(日本全国の個人経営の小規模な店舗のほとんどが利用するようになるとか)、最近のフードデリバリーサービス「UberEATS」と同様なスピードで利用されていくのではないと思います。

 

さらには、お店とユーザーをつなぐフードシェアリングから、ユーザーとユーザーをつなぐフードシェアリングまで横方向に展開するような未来もあるかもしれません。

自宅の使いきれない食材をアプリを使って簡単に近くの人にシェアできるような。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

 

まだ走り始めたばかりのフードシェアリングサービス業界、今後サービス提供者が増えていくのも楽しみです。

 

今回紹介したフードシェアリングに近い内容として、近年注目度の高いシェアリングエコノミーサービスを一覧でまとめた記事もありますので、ぜひあわせてご覧ください。

【シェアリングエコノミー代表事例の一覧】日本で利用できる「シェアエコ」サービスまとめ

 

別記事でフィンテック、モバイルバッテリーのシェアリングをまとめた記事も書いています。

【資産運用系フィンテックサービス・アプリまとめ】簡単に少額から投資ができる!

モバイルバッテリーのシェアリング・レンタルサービス4選まとめ【2019年注目】

 

以上、「2019年注目のフードシェアリングサービスとは?飲食店のフードロス(食料廃棄)問題を解決するフードシェアリングの課題と未来を考える。」でした!

それではまた!