Googleスプレッドシート（以下、Sheets）は、多くのビジネスシーンで利用されている表計算ソフトです。
基本的な集計やグラフ作成はもちろん便利ですが、「もっと効率的にデータ分析したい」「チームでの共同作業をスムーズにしたい」と感じている方も多いのではないでしょうか？
私のお客様でも、売上管理や顧客リスト、プロジェクト進捗管理など、様々な場面でSheetsが活用されていますが、基本的な表計算だけで終わっているケースも多く見受けられます。
実はSheetsには、ビジネスの現場で役立つ強力な関数や機能、そしてGoogle Workspaceならではの優れた共同編集機能がたくさん備わっているのです。
私も、いくつかの便利な関数や機能を覚えたことで、データ分析や情報共有のスピードが劇的に上がり、日々の業務が格段に楽になった経験があります。
この記事では、Google Sheetsをさらに使いこなし、あなたのビジネスを加速させるための「関数」「ピボットテーブル」「共同編集」に関する厳選テクニックを10個ご紹介します。
【ご注意】この記事の情報は2025年6月時点のものです。Google Sheetsの機能やインターフェースは変更される可能性があります。最新情報はGoogle ドキュメント エディタ ヘルプ等でご確認ください。
なぜGoogle Sheetsを「使いこなす」べきなのか？
Sheetsを深く理解し、機能を使いこなすことには、以下のようなメリットがあります。
- データに基づいた意思決定の促進: データを多角的に分析し、客観的な判断材料を得やすくなります。
- 作業時間の大幅な短縮: 手作業で行っていた集計や分析を自動化し、時間を節約できます。
- 入力ミスや計算ミスの削減: 関数や機能を正しく使うことで、ヒューマンエラーを減らし、データの正確性を高めます。
- チームでのコラボレーション向上: リアルタイムでの共同編集やコメント機能により、チーム全体の生産性が向上します。
まさに「時は金なり」。Sheetsのテクニックは、あなたのビジネスの貴重な時間を生み出します。
ビジネスで役立つGoogle Sheetsテクニック10選
【関数編】データ集計・分析を自動化する
- SUMIF / SUMIFS関数: 条件に合う数値だけを合計する
指定した条件に一致するデータだけを合計します。例えば、「商品Aの売上合計」「東京支店の経費合計」「4月の〇〇カテゴリーのアクセス数合計」などを簡単に算出できます。SUMIFSなら複数の条件を指定可能です。 - COUNTIF / COUNTIFS関数: 条件に合うデータの個数を数える
指定した条件に一致するセル（データ）の個数を数えます。「〇〇セミナーの申込者数」「ステータスが「完了」のタスク数」「アンケートで「はい」と答えた人数」など、様々なカウント作業を自動化できます。 - AVERAGEIF / AVERAGEIFS関数: 条件に合う数値の平均を出す
指定した条件に一致する数値データだけの平均値を算出します。「特定商品の平均販売単価」「営業部員の平均契約件数」など、分析の切り口を増やすのに役立ちます。 - XLOOKUP関数 (またはVLOOKUP): 別の表から関連データを取り出す
ある表の値をキーにして、別の表から対応するデータを見つけ出して表示します。例えば、「商品IDから商品名を検索」「社員番号から部署名を取得」など、複数のリストや表を連携させる際に必須の関数です。（XLOOKUPはVLOOKUPよりも柔軟で高機能なため、利用可能であればこちらを推奨します） - IMPORTRANGE関数: 他のスプレッドシートからデータをリアルタイムに引用
別のGoogleスプレッドシートの特定の範囲のデータを、現在のシートにリアルタイムで読み込みます。例えば、各担当者が個別に管理している売上報告シートのデータを、一つのマスターシートに集約して全体像を把握する、といった使い方が可能です。データの二重入力やコピペの手間とミスを防ぎます。 - QUERY関数: データベースのようにデータを抽出・集計・並び替え
まるでデータベースを操作するように、シート内のデータに対してSQLライクなクエリ（問い合わせ言語）を使って、複雑な条件での抽出、集計、並び替え、グループ化などを行えます。少し学習が必要ですが、使いこなせればデータ分析の幅が格段に広がります。（中級者以上向けですが、非常に強力です）
【ピボットテーブル編】大量データを瞬時に分析
- ピボットテーブルで簡単データ集計・分析
大量の元データから、ドラッグ＆ドロップ操作で簡単に見たい切り口（行、列、値、フィルタ）を指定し、クロス集計表や要約表を瞬時に作成できます。関数を組む必要がなく、様々な角度からデータを分析したい場合に非常に便利です。「月別の商品別売上集計」「担当者別の進捗状況分析」など、用途は無限大です。
【共同編集・共有編】チームでの作業を円滑に
- リアルタイム共同編集とコメント機能
Google Sheetsの最大の強みの一つ。複数のメンバーが同時に同じシートを開き、リアルタイムで編集できます。誰がどこを編集しているかも視覚的に分かります。特定のセルにコメントを残し、メンション（@ユーザー名）して担当者に通知することも可能で、シート上でのコミュニケーションが円滑に進みます。 - フィルタ表示（自分だけのフィルタ）
共有しているシートで、他の人の表示に影響を与えずに、自分だけが見たい条件でデータを並べ替えたり、絞り込んだりできる機能です。「データ」メニュー > 「フィルタ表示」から作成します。これにより、他の共同編集者の作業を妨げることなく、各自が必要な分析を行えます。共有シートでは必須のマナーとも言えます。 - 保護された範囲とシート
重要な計算式が入ったセルや、絶対に書き換えてほしくないマスターデータ部分などを、特定のユーザー以外は編集できないように保護できます。シート全体を保護することも可能です。これにより、共同編集時の意図しないデータ破損リスクを低減できます。
スプレッドシート活用の第一歩と、中小企業でのポイント
これらのテクニックを一度にすべて覚える必要はありません。まずは、自社の業務で効果が出そうなものから試してみるのが良いでしょう。私の経験から、特に中小企業で導入効果を実感しやすいポイントは以下の通りです。
- まずは「SUMIF/COUNTIF系」と「ピボットテーブル」からマスターする: これらは比較的簡単に習得でき、かつ日常の売上集計や簡単なデータ分析ですぐに効果を実感できる機能です。私も最初はこれらの機能で「Sheetsってこんなに便利なのか！」と感動しました。
- 「IMPORTRANGE」でデータの分断と二重入力を防ぐ: 各部署や担当者がバラバラに同じようなデータを持っているケースは多いです。マスターとなるデータを一つ決め、IMPORTRANGE関数で必要な部分だけを各シートに引用する形にすれば、データの整合性が保たれ、更新の手間も省けます。
- 「フィルタ表示」は共有シートの「お約束」として徹底する: 共有シートで誰かが勝手にソートやフィルタをかけてしまうと、他の人が混乱します。「フィルタ表示を使いましょう」というルールを徹底するだけで、共同作業のストレスが大きく減ります。
- 恐れずに「QUERY関数」に挑戦してみる（データ活用を深めたいなら）: 少し難易度は上がりますが、QUERY関数を使いこなせるようになると、スプレッドシート上でできることの幅が本当に広がります。Web上にも多くの解説記事やサンプルがあるので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。最初は複雑に見えますが、特定のパターンを覚えれば、色々な応用が利きますよ。
大切なのは、まず「こんなことができるんだ」と知ること、そして実際に試してみることですね。
まとめ：Google Sheetsを使いこなし、データドリブンなビジネスへ
Google Sheetsは、単なる表計算ソフトの枠を超え、データ分析、情報共有、そしてチームコラボレーションを加速させる強力なビジネスツールです。今回ご紹介した10のテクニックは、その多機能性の一端に過ぎません。
これらの関数や機能を一つでも多く習得し、日々の業務に取り入れることで、作業時間は短縮され、データの精度は向上し、よりデータに基づいた的確な意思決定が可能になるはずです。
Google Sheetsのような強力なツールが標準で使えるのもGoogle Workspaceの大きな魅力です。チーム全体のデータ活用能力を高めるこの環境を、お得に導入しませんか？
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この記事が、あなたのGoogle Sheetsスキル向上と、ビジネスにおけるデータ活用の推進の一助となれば幸いです。