Webアプリケーションに命を吹き込む、画像や動画の投稿機能。
ユーザープロフィール、SNSフィード、ポートフォリオサイトなど、その用途は無限大です。
しかし、この「ファイルアップロード機能」を自前で実装するのは、フロントエンドとバックエンドの連携、ストレージの確保、セキュリティ対策など、考慮すべき点が多く、意外と手間がかかるものです。
もし、この一連の面倒なプロセスを、AIとのチャットだけで完結できるとしたらどうでしょうか。
本記事では、AIソフトウェアエンジニア「Lovable」を使い、驚くほど簡単かつ迅速に画像・動画のアップロード機能とストレージ保存を実装する方法を、具体的なプロンプト例も交えながら徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたもLovableを自在に操り、リッチな表現力を持つWebアプリを開発できるようになっているはずです。
Lovableにおけるファイルアップロード機能の全体像
Lovableでファイルアップロード機能を実装する前に、まずその仕組みを理解しておきましょう。Lovableは、単に見た目(UI)を作るだけでなく、裏側の仕組み(バックエンド)まで含めて一気通貫で構築してくれるのが最大の特徴です。ファイルアップロード機能は、主に以下の3つの要素が連携して動作します。
1. フロントエンド (React + TypeScript)
ユーザーが直接操作する画面部分です。Lovableは、モダンなWeb開発で主流となっているReactとTypeScriptを標準で採用しています。ファイルアップロード機能においては、「ファイルを選択」ボタン(<input type="file" />)の設置、選択されたファイルをバックエンドに送信するロジックの記述などを担当します。ユーザー体験を左右する重要な部分ですが、LovableならこれもAIへの指示一つで高品質なコンポーネントを生成してくれます。
2. バックエンド (Lovable Cloud / Supabase Storage)
アップロードされたファイルを実際に保存し、管理するサーバー側の仕組みです。Lovableは、バックエンドに「Lovable Cloud」という強力な基盤を提供しています。これは、人気のオープンソースBaaS(Backend as a Service)であるSupabaseをベースに構築されており、データベース、認証機能、そして今回の主役であるファイルストレージ機能を標準で備えています。AIに「画像をアップロードしたい」と伝えるだけで、Lovableは自動的にLovable Cloud上に専用の保存場所(ストレージバケット)を作成し、必要なセキュリティ設定まで行ってくれるのです。
3. AIエージェントの役割
そして、上記のフロントエンドとバックエンドを繋ぎ合わせるのが、Lovableの中核をなすAIエージェントです。開発者が「プロフィール画像をアップロードできるようにして」と自然言語で指示すると、AIエージェントは以下の作業を自動で実行します。
- Reactコンポーネントにファイル選択ボタンを追加する。
- ファイルが選択されたら、Lovable Cloudのストレージにアップロードする処理(TypeScriptコード)を記述する。
- Lovable Cloud側に、画像を保存するためのバケットを作成し、適切なアクセス権ポリシーを設定する。
- アップロードした画像のURLをデータベースに保存し、後で表示できるようにする。
独自の視点: 私が特に注目しているのは、単にコードを生成するだけでなく、Supabaseのストレージ設定(バケット作成やポリシー設定)までAIが文脈を読んで実行してくれる点です。これは、他の多くのUI生成AIやコード生成ツールにはない、Lovableならではの大きな強みと言えるでしょう。インフラの設定を意識することなく、作りたい機能そのものに集中できる開発体験は、一度味わうと手放せなくなります。
実践!プロンプトで画像アップロード機能を実装する4ステップ
それでは、実際にLovableを使って画像アップロード機能を実装する手順を、ステップ・バイ・ステップで見ていきましょう。ここでは例として、「シンプルなブログ投稿アプリにアイキャッチ画像を設定する機能」を実装します。
ステップ1: プロジェクトの準備と基本UIの生成
まずはLovableで新しいプロジェクトを作成し、ベースとなるアプリをAIに作ってもらいます。非常に簡単な指示で構いません。
プロンプト例:
シンプルなブログ投稿アプリを作成してください。タイトルと本文を入力して投稿できるフォームと、投稿一覧ページが必要です。
この指示だけで、Lovableはデータベースの設計、投稿フォーム、一覧ページを含む基本的なCRUDアプリケーションの雛形を数分で生成してくれます。
ステップ2: ファイルアップロードUIの追加を指示する
次に、先ほど作成した投稿フォームに、画像アップロード機能を追加するようAIに依頼します。
プロンプト例:
投稿フォームに、アイキャッチ画像をアップロードできる機能を追加してください。「画像を選択」ボタンを設置し、ユーザーが画像ファイルを選べるようにしてください。
この指示により、AIはReactの投稿フォームコンポーネントを修正し、<input type="file" accept="image/*" />のような要素を追加します。さらに、ファイルが選択された際の処理ハンドラも自動で記述してくれます。
ステップ3: AIが生成したバックエンド設定を確認する
ここがLovableの真骨頂です。UIが変更されると同時に、バックエンドでは何が起きているのでしょうか。Lovableの管理画面左側のメニューから「Cloud」を選択し、中にある「Storage」タブを開いてみましょう。すると、post_imagesやthumbnailsといった名前のストレージバケットが自動で作成されているはずです。これは、AIが「ブログ投稿の画像」という文脈を理解し、それに適した保存場所をバックエンドに用意してくれた証拠です。バケットのアクセスポリシーも、デフォルトで適切な設定(例: ログインユーザーのみ書き込み可能など)になっています。
ステップ4: アップロードした画像を表示する
最後に、アップロードした画像がブログ記事に表示されるように指示します。
プロンプト例:
アップロードしたアイキャッチ画像を、ブログの詳細ページと一覧ページに表示してください。
AIは、データベースに保存された画像URLを読み込み、それを<img>タグで表示するよう、詳細ページと一覧ページのコンポーネントを更新します。これで、ファイルアップロードから保存、表示までの一連の流れが完成しました。
独自の視点: Lovableを効果的に使うコツは、一度に完璧な指示を出そうとせず、AIと対話するように機能を段階的に育てていくことです。「まずUIを追加」→「次にロジックを実装」→「最後に表示を確認」といったように、タスクを分割して指示することで、AIは各ステップで高い精度を発揮し、結果的に開発プロセス全体がスムーズに進みます。
画像だけじゃない!動画やPDFなど様々なファイル形式への対応
Lovableのファイルアップロード機能は、画像専用ではありません。バックエンドであるLovable Cloud(Supabase)の柔軟な設定を活かせば、動画やPDF、音声ファイルなど、様々な形式のファイルに対応させることが可能です。
Supabase StorageのMIMEタイプをカスタマイズする
特定のファイル形式を許可するには、ストレージバケットの設定で許可するMIMEタイプを指定します。Lovable管理画面の「Cloud」→「Storage」から対象のバケットを選択し、設定画面を開きます。「Allowed MIME types」の項目に、許可したいファイル形式を追加しましょう。例えば、MP4動画とPDFファイルを許可したい場合は、以下のように設定します。
video/mp4application/pdf
このように設定することで、指定外のファイルがアップロードされるのを防ぎ、セキュリティを高めることができます。
プロンプトでファイル形式を指定してUIを最適化する
バックエンドの設定と合わせて、フロントエンドのUIも特定のファイル形式に最適化させましょう。これもプロンプトで簡単に指示できます。
プロンプト例:
このファイルアップロード機能で、動画ファイル(.mp4)のみを選択できるようにしてください。
この指示を受けると、AIは<input>タグのaccept属性を"video/mp4"のように変更し、ユーザーがファイル選択ダイアログを開いた際に、指定された形式のファイルのみがデフォルトで表示されるようにしてくれます。
大容量ファイルへの注意点と対策
動画ファイルなどを扱う場合、ファイルサイズが大きくなりがちです。Lovableの料金プランやSupabaseのストレージ制限(2026年1月時点では、プランによりファイルサイズ上限が異なります)には注意が必要です。意図しない大容量ファイルのアップロードを防ぐために、フロントエンドでファイルサイズチェックを行う処理を追加するようAIに指示するのが賢明です。
プロンプト例:
ファイルのアップロード前にファイルサイズをチェックし、もし100MBを超えていたら「ファイルサイズが大きすぎます」というエラーメッセージを表示するようにしてください。
こうすることで、不要なアップロード処理を防ぎ、ユーザー体験とサーバーリソースの両方を守ることができます。
独自の視点: Lovableは開発の「土台」を驚異的な速さで作ってくれますが、公開アプリケーションとして運用する上では、セキュリティを常に意識することが重要です。特にファイルアップロード機能は、悪意のあるファイルをアップロードされるリスクもゼロではありません。AIが生成した基本設定に満足せず、Lovable Cloud(Supabase)のドキュメントも参照し、公開ファイルのURL有効期限設定(expiring links)や、より厳格な行レベルセキュリティ(RLS)ポリシーの適用を検討することで、さらに堅牢なアプリケーションを構築できます。
開発を加速する!Visual Editsとコード編集のハイブリッド活用
Lovableの魅力は、プロンプトによる生成だけにとどまりません。生成されたアプリを直感的に編集する「Visual Edits」と、プロのエンジニア向けの詳細な「コード編集」、この二つを使い分けることで、開発効率は飛躍的に向上します。
Visual Editsでアップロードボタンのデザインを微調整
AIが生成したUIは高品質ですが、「ボタンの色をもう少し薄くしたい」「ここのマージンをあと4px広げたい」といった細かなデザイン調整は必ず発生します。そんな時、再度プロンプトを書いて修正を依頼するのは少し面倒です。そこで役立つのが「Visual Edits」モードです。
Lovableエディタの上部にあるスイッチを「Visual Edits」に切り替えると、プレビュー画面上の要素を直接クリックして編集できるようになります。ファイルアップロードボタンを選択し、右側に出てくるパネルから背景色、文字サイズ、パディングなどをFigmaのような感覚で直感的に調整できます。何より素晴らしいのは、このVisual Editsによる操作の多くはクレジットを消費しない点です。デザインの微調整は、クレジットを気にせず心ゆくまで行いましょう。
Dev/Codeモードで独自のアップロード処理を追加する
AIによる自動生成は強力ですが、アプリケーション独自の複雑なビジネスロジックを実装したい場合もあります。例えば、「ファイルアップロードが完了したら、Slackに通知を送る」「特定の画像がアップロードされたら、画像解析APIを呼び出す」といった処理です。このような場合は、「Dev」または「Code」モードの出番です。
これらのモードに切り替えると、AIが生成したReactコンポーネントのTypeScriptコード(.tsxファイル)を直接編集できます。例えば、AIが生成したファイルアップロード関数の中に、以下のように独自の処理を追記することが可能です。
// AIが生成したアップロード関数
const handleUpload = async (file) => {
const { data, error } = await lovable.cloud.storage.from('images').upload(file.name, file);
if (error) {
console.error('Upload failed:', error);
} else {
console.log('Upload successful!', data.path);
// ▼ ここから手動で追記 ▼
// 独自のstateを更新して、UIに完了メッセージを表示する
setUploadStatus('完了しました!');
// 外部のAPIに通知を送る
await fetch('/api/notify-upload', { method: 'POST', body: JSON.stringify({ path: data.path }) });
// ▲ ここまで手動で追記 ▲
}
};
独自の視点: Lovableを真に使いこなす鍵は、この「AIに任せる部分」と「人間が手を入れる部分」の使い分けにあります。定型的で面倒なCRUDやUIコンポーネントの作成はAIに任せ、アプリケーションの独自性や競争力に直結する複雑なビジネスロジック、あるいはパフォーマンスがシビアな箇所は人間がコード編集で仕上げる。このハイブリッドな開発スタイルこそが、これからのアジャイル開発の新たなスタンダードになるかもしれません。
まとめ:Lovableでファイルストレージ開発は次のステージへ
この記事では、AIソフトウェアエンジニア「Lovable」を使って、これまで手間のかかっていた画像・動画のファイルアップロード機能とストレージ保存を、いかに簡単かつ迅速に実装できるかを解説しました。その要点は以下の通りです。
- LovableはAIへのチャット指示だけで、フロントエンド(React)からバックエンド(Lovable Cloud/Supabase)までを一気通貫で構築します。
- ファイルアップロード機能の実装は、UIの生成だけでなく、ストレージバケットの作成やセキュリティポリシーの設定まで自動化されます。
- 画像だけでなく、動画やPDFなど様々なファイル形式に対応可能で、MIMEタイプやファイルサイズ制限も柔軟に設定できます。
- プロンプトだけでなく、Visual Editsによる直感的なUI調整と、コード編集による詳細なロジック実装を組み合わせることで、開発の速度と品質を両立できます。
Lovableは、もはや単なるプロトタイピングツールではありません。バックエンドの基盤まで含めて提供し、人間によるコード編集ともシームレスに連携できる、本格的なWebアプリケーション開発の強力なパートナーです。
SNS、Eコマース、SaaS… あなたがこれから作ろうとしているアプリケーションには、きっとファイルアップロード機能が必要になるはずです。まずは無料プランで、この記事で紹介した画像アップロード機能を実際に試してみてはいかがでしょうか。未来の開発スタイルが、もうここにあります。
また、Lovableの料金プランやクレジットの仕組み、さらに詳しい機能については、私たちの「Lovable完全ガイド記事」で網羅的に解説していますので、そちらもぜひ併せてご覧ください。
>>【2026年完全版】Lovable(ラバブル)とは?AIでWebアプリを自動生成する使い方・料金・特徴を徹底解説
この記事が、あなたのアプリケーション開発の可能性を大きく広げる一助となれば幸いです。
