Notionとn8nを連携させると、日々のタスク管理や情報集約が劇的に効率化しますよね。
しかし、テキストや数値といった単純なプロパティの操作はできても、データベース間の連携に不可欠な「リレーション」や、集計結果を自動表示する「ロールアップ」の扱いでつまずいていませんか。
「APIのドキュメントを読んでも、n8nでどう設定すればいいのか分からない…」そんな悩みを抱えている方も多いでしょう。
ご安心ください。
この記事では、2026年1月時点の最新情報に基づき、n8nを使ってNotionデータベースのあらゆるプロパティ、特にリレーションとロールアップを自在に操るための実践的な方法を、具体的なワークフロー例と共に徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたはNotionのポテンシャルを最大限に引き出す自動化マスターになっているはずです。
n8nとNotion連携の基本とプロパティ操作の全体像
まず、n8nとNotionを連携させることの強力なメリットと、プロパティ操作の基本的な考え方についておさらいしましょう。この基礎を理解することが、複雑な操作をマスターするための第一歩となります。
なぜn8nとNotionの連携が強力なのか?
Notionは、その柔軟なデータベース機能により、単なるドキュメントツールを超え、タスク管理、プロジェクト管理、顧客管理(CRM)など、あらゆる情報を一元管理できる万能ツールです。一方、n8nは、様々なWebサービスやアプリケーションを連携させ、定型業務を自動化するiPaaS(Integration Platform as a Service)ツールです。
この二つを組み合わせることで、「Googleフォームに回答が送信されたら、Notionのタスクリストに新しいページを作成する」「Gmailで特定のラベルが付いたメールを受信したら、その内容をNotionのデータベースに保存する」といったワークフローが、プログラミングの知識がほとんどなくても実現できます。手作業で行っていたデータ入力や転記作業から解放され、より創造的な業務に集中できる環境が手に入ります。n8nの基本的な使い方やその可能性についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ「n8n完全ガイド記事」も併せてご覧ください。
Notionデータベースのプロパティをおさらい
n8nで操作する前に、Notionのプロパティの種類を再確認しておきましょう。これらはn8nでデータをやり取りする際の「型」として非常に重要です。
- 基本プロパティ: テキスト、数値、セレクト、マルチセレクト、日付、ユーザーなど。これらは比較的直感的にn8nで操作できます。
- 高度なプロパティ:
- リレーション: 異なるデータベースのページ同士を関連付ける機能です。例えば、「プロジェクト」データベースと「タスク」データベースを関連付け、どのタスクがどのプロジェクトに属しているかを示します。
- ロールアップ: リレーションで関連付けられたページのプロパティを集計して表示する機能です。例えば、関連するタスクの進捗状況(ステータス)を集計し、「プロジェクト」データベース上で完了率を算出するといった使い方をします。
特にリレーションとロールアップは、データベースの真価を発揮させるための鍵となります。そして、これらをn8nでどう扱うかが本記事の核心です。
n8nのNotionノードでできること
n8nには、Notionを操作するための専用ノードが用意されています。このノードを使えば、データベースやページに対して様々な操作が可能です。
- ページの作成 (Create): 新しいページをデータベースに追加します。
- ページの更新 (Update): 既存のページのプロパティを更新します。
- ページの取得 (Get/GetAll): 特定の条件に合うページを取得したり、データベース内の全ページを取得したりします。
基本プロパティの操作は、これらのノードで対応するプロパティ名に値を設定するだけです。しかし、リレーションを操作するには、Notion APIが要求する特殊なデータ形式(JSON)を理解し、n8n上でその形式にデータを整形してあげる必要があります。
【実践】n8nでNotionのリレーションプロパティを操作する
ここからは、本題であるリレーションプロパティの具体的な操作方法を解説します。リレーションを制する者は、Notion自動化を制すると言っても過言ではありません。具体的なケーススタディを通して、実践的なスキルを身につけましょう。
リレーションの仕組みとn8nでのデータ形式
n8nでリレーションを設定するためには、Notion APIがどのようにリレーションを認識しているかを知る必要があります。結論から言うと、リレーションプロパティの値は、関連付けたいページの「ページID」を配列(リスト)で指定します。
例えば、あるタスクを特定のプロジェクトに関連付けたい場合、n8nのNotionノード(CreateまたはUpdate)のリレーションプロパティ部分に、以下のようなJSON形式でプロジェクトのページIDを渡す必要があります。
[{"id": "取得したプロジェクトのページID"}]
この「ページID」は、URLから取得できるハイフンなしの32文字の英数字とは異なる、UUID形式(ハイフンあり)の場合があります。n8nのNotionノードでページを取得すれば、正しいIDが取得できるので、必ずn8n上で取得したIDを使用しましょう。
ケーススタディ:タスクをプロジェクトに関連付ける
それでは、具体的なワークフローを作成してみましょう。ここでは、「プロジェクト」データベースと「タスク」データベースがあり、新しいタスクを作成する際に、対応するプロジェクトに自動で関連付けるシナリオを考えます。
- トリガーを設定する: ワークフローの起点です。手動実行でも、WebhookやGoogleフォームの送信など、任意のもので構いません。
- 関連付けたいプロジェクトを検索する: n8nの「Notion」ノードを使用し、リソースを「Database/Page」、オペレーションを「Get」に設定します。「プロジェクト」データベースの中から、関連付けたいプロジェクト名をキーにして検索し、そのページの情報を取得します。
- データを整形する: 次に、「Set」ノードや「Code」ノードを使います。ここで、リレーションプロパティに設定するためのJSONデータを作成します。ステップ2で取得したプロジェクトのページID(
{{ $json["id"] }}のような式で取得できます)を使い、前述の[{"id": "ページID"}]という形式のデータを作成します。 - タスクページを作成(または更新)する: 再び「Notion」ノードを使用します。リソースを「Database/Page」、オペレーションを「Create」に設定し、「タスク」データベースを選択します。タスク名などの基本プロパティを設定すると共に、リレーションプロパティの欄に、ステップ3で作成したJSONデータを式として埋め込みます。
この流れにより、プロジェクト名さえ分かれば、n8nが自動でIDを調べてリレーションを設定してくれる、非常にスマートなワークフローが完成します。
複数のリレーションを一度に設定する方法
一つのページに複数のページを関連付けたい場合も簡単です。配列の中に、複数のページIDをオブジェクトとして含めるだけです。
[{"id": "ページID_A"}, {"id": "ページID_B"}, {"id": "ページID_C"}]
例えば、複数の担当者を設定するリレーションの場合、担当者データベースから該当するユーザーを複数人検索し、それぞれのページIDを取得して上記のような配列データを作成し、Notionノードに渡せば一度に設定が完了します。
【応用】n8nでロールアップを扱う際の注意点とテクニック
リレーションの操作に慣れたら、次はロールアップです。しかし、ここには大きな落とし穴があります。この章では、その制約を理解し、賢くロールアップを扱うためのテクニックを解説します。
最重要ポイント:ロールアップは直接更新できない!
まず、最も重要な事実からお伝えします。n8nからNotionのロールアッププロパティを直接書き換えることはできません。
なぜなら、ロールアップはあくまで「リレーションで関連付けられた先のページのプロパティを、設定に従って集計・表示しているだけ」の読み取り専用プロパティだからです。n8nのNotionノードでロールアッププロパティに値を設定しようとしても、APIレベルで無視されるか、エラーが発生します。これはNotion APIの仕様であり、n8nの制約ではありません。
多くの人が「ロールアップの値を更新したいのにできない!」とここでつまずきます。この仕様を理解することが、ロールアップを自動化する上での鍵となります。
解決策:リレーション元のデータを更新してロールアップに反映させる
では、どうすればロールアップの値を変更できるのでしょうか?答えはシンプルです。ロールアップが集計している「元データ」を更新すれば良いのです。
例えば、「プロジェクト」データベースに「関連タスクの完了率」というロールアップがあるとします。このロールアップは、「タスク」データベースの「ステータス」プロパティが「完了」になっているものの割合を計算しているはずです。この場合、n8nで行うべき操作は、完了率の数値を直接書き換えることではなく、個々のタスクページの「ステータス」プロパティを「完了」に変更することです。元のデータが変更されれば、Notionが自動で再計算を行い、ロールアップの値も更新されます。
つまり、n8nの役割はロールアップを「間接的に」更新するためのトリガーとなるのです。
ケーススタディ:プロジェクトの進捗率を自動更新する
この考え方に基づき、具体的なワークフローを構築してみましょう。「タスク」データベースのステータスが「完了」になったら、関連する「プロジェクト」データベースの進捗(ロールアップ)が自動で更新される仕組みです。
- トリガーを設定する: n8nの「Notion Trigger」ノードを使用します。イベントとして「Page Updated」を選択し、「タスク」データベースを指定します。特定のプロパティ(この場合は「ステータス」)の更新のみをトリガーにすることも可能です。
- 条件分岐を行う: 「IF」ノードを使い、更新されたステータスが「完了」であるかどうかを判定します。完了でない場合は、ここでワークフローを終了させます。
- (操作はここまで): これだけです。ステータスが「完了」になったタスクページの変更をn8nが検知し、IFノードで条件を満たしたことを確認したら、あとは何もしません。Notion側で、このタスクページとリレーションされているプロジェクトページのロールアッププロパティが自動的に再計算され、進捗率が更新されます。
このワークフローのポイントは、n8nが何かを書き込むのではなく、「監視」と「判定」に徹している点です。ロールアップの自動化とは、このように元データを適切に操作するワークフローを設計することに他なりません。
私の独自Tips:さらに高度な活用術とトラブルシューティング
基本と応用をマスターしたあなたに、最後にもう一歩踏み込んだ活用術と、よくある問題の解決策を伝授します。特にCodeノードの活用は、自動化の幅を大きく広げるための強力な武器になります。
Codeノードで複雑なデータ構造を動的に生成する
Setノードでも多くのデータ整形は可能ですが、条件が複雑になると限界が見えてきます。例えば、「タスクの優先度が『高』ならAプロジェクトに、『中』ならBプロジェクトに関連付ける」といった動的なリレーション設定を行いたい場合、JavaScriptが書けるCodeノードの出番です。
Codeノード内では、入力データ($jsonや$items()で取得)を元に、if文やswitch文を使って条件分岐させ、最終的にNotion APIが要求するJSON形式のオブジェクトを生成して返します。これにより、静的な設定では実現不可能な、柔軟でインテリジェントなワークフローを構築できます。例えば、以下のようなコードで、入力されたプロジェクト名に応じて動的にリレーション先を決定できます。
(※以下はコードのイメージです)
const projectName = $json.body.projectName;
let projectId = '';
if (projectName === 'Project Alpha') { projectId = 'xxxx-xxxx-xxxx-xxxx';
} else if (projectName === 'Project Beta') { projectId = 'yyyy-yyyy-yyyy-yyyy';
}
// 最終的にNotionノードに渡すデータ形式で返す
return { relationProperty: [{ id: projectId }]
};このようにロジックをコードで記述することで、IFノードを何重にもネストさせるよりも、はるかに見通しの良いワークフローになります。これが私の最もおすすめするテクニックの一つです。
エラーハンドリング:「ページが見つからない」を防ぐ
「リレーション先のプロジェクトを名前で検索したが、タイポしていて見つからなかった」というケースは頻繁に起こります。このような場合、ワークフローがエラーで停止してしまいます。これを防ぐためには、ページを検索した直後に「IF」ノードを設置し、検索結果が0件でないことを確認するステップを挟むのが有効です。もし0件だった場合は、Slackやメールで通知を送るなど、エラー処理のフローに分岐させることで、より堅牢な自動化システムを構築できます。
さあ、これであなたもNotionとn8nを使った高度な自動化を実現する準備が整いました。最初は難しく感じるかもしれませんが、一つ一つのステップを確実に実行すれば、必ずマスターできます。業務効率化の大きな一歩を踏み出すために、今すぐn8nを始めて、あなただけのワークフロー構築に挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ:n8nでNotionデータベースを完全にマスターしよう
今回は、n8nを使ってNotionデータベースのプロパティ、特に複雑なリレーションとロールアップを操作する方法について、具体的なステップと注意点を交えながら詳しく解説しました。
重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- リレーションは、関連付けたいページの「ページID」を特定のJSON形式で渡すことで設定できます。
- ロールアップは直接更新できず、その集計元となるリレーション先のページのプロパティを更新することで「間接的に」値を変更します。
- Codeノードを活用すれば、条件に応じた動的なリレーション設定など、より高度で柔軟なワークフローを構築できます。
これらのテクニックを駆使すれば、これまで手作業に頼っていたNotion上の煩雑なデータ管理から解放され、生産性を飛躍的に向上させることが可能です。n8nが持つ真の力は、このようなAPIの仕様を理解し、ツールを組み合わせることで発揮されます。
n8nの可能性は無限大です。もし、n8nのセットアップや基本的な使い方からしっかり学びたいと感じたら、まずは「n8n完全ガイド記事」で基礎を固めることをお勧めします。そして、あなた自身の業務課題を解決する最初の自動化ワークフローを、ぜひn8nで構築してみてください。その一歩が、あなたの働き方を大きく変えるきっかけになるはずです。
