「n8n」を使って、日々の業務を自動化したいと考えているけれど、クラウド版の料金体系が気になる、あるいはもっと自由にカスタマイズしたい、と感じていませんか。
そんなあなたに最適な選択肢が「セルフホスト」です。
セルフホストなら、n8nのパワフルな機能を、サーバー維持費だけで思う存分活用できます。
しかし、その第一歩となるのが「VPS(仮想専用サーバー)選び」。
数あるサービスの中から、どれを選べば良いのか迷ってしまいますよね。
この記事では、2025年12月時点でn8nのセルフホストに特におすすめのVPSとして、国内で人気の「ConoHa VPS」「Xserver VPS」と、開発者に支持される「DigitalOcean」の3社をピックアップ。
料金、性能、使いやすさなど、n8nを快適に動かすための重要なポイントを徹底的に比較・解説します。
この記事を読めば、あなたのスキルレベルや目的にぴったりのVPSが見つかり、迷うことなくn8nによる業務自動化の第一歩を踏み出せるはずです。
なぜn8nのセルフホストにVPSが最適なのか?
n8nを自前で運用する「セルフホスト」。なぜ多くの人がこの方法を選び、そしてその基盤としてVPSが推奨されるのでしょうか。まずは、n8nのクラウド版との違いや、他のサーバー選択肢と比較した場合のVPSの優位性について理解を深めましょう。
n8nのクラウド版とセルフホストの違い
n8nには、公式サイトからサインアップしてすぐに使える「クラウド版」と、自分で用意したサーバーにインストールして使う「セルフホスト版」があります。両者の主な違いは、「料金体系」「機能制限」「データ管理」の3点です。
- 料金体系: クラウド版は、ワークフローの実行回数やステップ数に応じた従量課金制が基本です。一方、セルフホスト版はn8n自体の利用料は無料で、かかる費用はサーバーのレンタル代のみ。頻繁にワークフローを実行する場合、セルフホストの方が圧倒的にコストを抑えられます。
- 機能制限: クラウド版では一部の高度な機能や、外部サービスとの連携に制限がある場合があります。セルフホスト版なら、n8nが提供する全ての機能を制限なく利用でき、自由なカスタマイズが可能です。
- データ管理: セルフホスト版では、全てのデータを自身のサーバー内で管理します。外部に機密情報を渡したくない、セキュリティポリシーを厳格に守りたい企業や個人にとって、これは大きなメリットと言えるでしょう。
VPSを選ぶメリット:共有サーバーや専用サーバーとの比較
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サーバーには主に「共有サーバー」「VPS(仮想専用サーバー)」「専用サーバー」の3種類があります。n8nのセルフホストにおいて、なぜVPSが最もバランスの取れた選択肢なのでしょうか。
- 共有サーバー: 複数のユーザーで1台のサーバーを共有するため、非常に安価です。しかし、他のユーザーの影響でパフォーマンスが不安定になったり、インストールできるソフトウェアに制限があったりするため、常時稼働が求められるn8nには不向きです。
- 専用サーバー: 1台のサーバーを丸ごと独占できるため、最高のパフォーマンスと自由度を誇ります。しかし、その分コストは非常に高額になり、個人や中小企業がn8nのためだけに利用するにはオーバースペックです。
- VPS(仮想専用サーバー): 共有サーバーと専用サーバーの「良いとこ取り」をした選択肢です。1台の物理サーバー上に、各ユーザー専用の仮想的なサーバー空間が提供されます。管理者権限(root権限)が与えられるため、n8nのような好きなソフトウェアを自由にインストールでき、他のユーザーの影響を受けにくい安定した環境を、専用サーバーよりはるかに低コストで手に入れられます。
この「コスト」「パフォーマンス」「自由度」のバランスの良さこそ、n8nのセルフホストにVPSが最適と言われる理由です。
n8nセルフホストに必要なサーバーのスペック目安
では、n8nをセルフホストするためには、どのくらいのサーバースペックが必要なのでしょうか。公式ドキュメントなどを参考にすると、最低限の目安は以下の通りです。
- CPU: 1vCPU以上
- メモリ: 1GB以上(2GB以上を推奨)
- ストレージ: 20GB以上(SSDを推奨)
n8nは、特にワークフローが複雑になったり、大量のデータを扱ったりするとメモリ消費量が増える傾向にあります。最初は最小構成でスタートし、運用状況を見ながらCPUやメモリを柔軟に増強(スケールアップ)できるのがVPSの大きな利点です。今回ご紹介する3つのVPSサービスは、いずれも簡単な操作でスケale upが可能です。
【徹底比較】n8nセルフホスト向けVPS 3選
ここからは、n8nのセルフホストにおすすめのVPSサービス「ConoHa VPS」「Xserver VPS」「DigitalOcean」の3社を、具体的な特徴や料金プランを交えながら比較していきます。それぞれの強みと弱みを理解し、自分に合ったサービスを見つけましょう。
ConoHa VPS:国内最速級&初期費用無料のバランス型
GMOインターネットグループが運営するConoHa VPSは、国内での知名度と人気が非常に高いサービスです。特に、Webサーバーの処理速度に定評があり、管理画面の使いやすさから初心者から上級者まで幅広く支持されています。
- 特徴:
- 国内サーバーならではの高速なレスポンスと安定性
- 直感的で分かりやすいコントロールパネル
- 初期費用無料で、最低利用期間の縛りがない時間課金制
- OSやアプリケーションのテンプレートが豊富
- n8n向け推奨プラン (2025年12月時点):
- メモリ1GBプラン: 月額968円〜(長期割引プラン「VPS割引きっぷ」利用でさらに安価に)
- CPU: 2vCPU / メモリ: 1GB / SSD: 50GB
- まずはこのプランから始め、必要に応じて2GBプランへのスケールアップを検討するのがおすすめです。
- メリット: 日本語のサポートが充実しており、サーバー初心者でも安心して始められます。コントロールパネルが視覚的で、サーバーの構築から管理までスムーズに行えるのが大きな魅力です。
- デメリット: 海外のVPSサービスと比較すると、同スペックでの料金が若干割高に感じられる場合があります。
- 独自の視点: ConoHa VPSは、WordPressに特化した「WINGパック」も有名ですが、n8nのようなWebアプリケーションを動かすなら、自由度の高い通常のVPS契約が最適です。サーバー構築時にOSを選ぶだけで、数分後には自分だけのサーバーが手に入ります。
Xserver VPS:高速・安定の国内大手&Webサイト運営に強み
レンタルサーバー業界の巨人、Xserverが提供するVPSサービスです。長年のホスティング事業で培った高速化技術と安定したサーバーインフラが最大の武器。Webサイト運営との親和性が高いのも特徴です。
- 特徴:
- NVMe SSDと高速ネットワークによる圧倒的な処理速度
- 高い安定性と信頼性、豊富な運用実績
- WordPressを簡単に始められる機能も搭載
- 充実した日本語サポート体制
- n8n向け推奨プラン (2025年12月時点):
- 2GBプラン: 月額830円〜
- CPU: 3vCPU / メモリ: 2GB / NVMe: 50GB
- メモリ1GBのプランがないため、少し余裕のある2GBプランからのスタートとなりますが、その分快適な動作が期待できます。
- メリット: サーバーの性能と安定性を重視するなら非常に有力な選択肢です。将来的にn8nと連携するブログやWebサイトも同じ環境で運営したいと考えている場合に強みを発揮します。
- デメリット: プランの選択肢がConoHa VPSやDigitalOceanに比べて少なく、時間単位の課金制度がないため、短期間の利用には不向きです。
- 独自の視点: すでにXserverのレンタルサーバーを利用しているユーザーであれば、管理画面の操作感に馴染みがあり、スムーズに導入できるでしょう。信頼と実績のある国内企業にこだわりたい方におすすめです。
DigitalOcean:開発者向けの高機能&グローバルな選択肢
DigitalOceanは、世界中の開発者から絶大な支持を得ているアメリカ発のクラウドサービスです。シンプルで分かりやすい料金体系と、開発者向けの豊富な機能が魅力。特にコストパフォーマンスに優れています。
- 特徴:
- 非常に安価なプランから始められる圧倒的なコストパフォーマンス
- n8nを1クリックでインストールできる「Marketplace App」が存在
- サーバーの作成、スナップショット、バックアップなどがAPI経由で操作可能
- ニューヨーク、シンガポール、フランクフルトなど世界中のデータセンターを選択可能
- n8n向け推奨プラン (2025年12月時点):
- Basic Droplet ($6/month〜):
- CPU: 1vCPU / メモリ: 1GB / SSD: 25GB
- 小規模な利用であれば、この最安クラスのプランで十分にn8nを動かすことが可能です。
- メリット: とにかく安く始めたい、というニーズに完璧に応えます。特に「Marketplace App for n8n」を使えば、面倒なインストール作業を全てスキップし、数分でn8n環境を構築できるため、実は英語が苦手な初心者にもおすすめできる選択肢です。
- デメリット: 公式サイト、管理画面、サポートが全て英語です。Marketplace Appを使わない場合、サーバーのセットアップには基本的なLinuxコマンドの知識が必要になります。
- 独自の視点: 「海外サービス=上級者向け」というイメージを覆すのが、このMarketplace Appの存在です。OSやDockerのセットアップをすることなく、すぐにn8nが使える状態でサーバーが立ち上がる手軽さは、他の国内サービスにはない大きなアドバンテージです。
目的別!あなたに最適なVPSの選び方
3つの優れたVPSサービスをご紹介しましたが、最終的にどれを選べば良いか迷うかもしれません。そこで、あなたの目的やスキルレベルに合わせて、最適なVPSを選ぶための指針をまとめました。
【初心者・国内向け】とにかく簡単に始めたいなら「ConoHa VPS」
「サーバーのことはよく分からないけど、n8nのセルフホストに挑戦してみたい!」という方には、ConoHa VPSが一番のおすすめです。日本語の分かりやすい管理画面と充実したサポートは、初めてVPSを触る方にとって心強い味方になります。初期費用もかからず、時間単位で課金されるため、気軽に試せるのも嬉しいポイントです。
【安定性・信頼性重視】Webサイト運営も視野に入れるなら「Xserver VPS」
「どうせサーバーを借りるなら、n8nだけでなく、ブログや会社のホームページも一緒に運営したい」と考えている方には、Xserver VPSが最適です。国内トップクラスの高速性と安定性を誇るインフラは、ミッションクリティカルなWebサイトの運営にも十分耐えられます。長年の実績に裏打ちされた信頼性を求めるなら、選んで間違いのないサービスです。
【コスト・拡張性重視】開発者志向のあなたには「DigitalOcean」
「とにかくコストを抑えたい」「APIを使ってサーバー管理も自動化したい」といった、開発者マインドを持つあなたにはDigitalOceanがぴったりです。月額数ドルから始められる手軽さに加え、1-Clickでn8nを導入できるMarketplace Appの存在により、驚くほどスピーディーに環境を構築できます。英語のインターフェースに抵抗がなければ、最もパワフルで経済的な選択肢となるでしょう。
さて、あなたにぴったりのVPSは見つかりましたか?サーバーを選んだら、次はいよいよn8nをセットアップし、自動化の世界に飛び込む番です。n8nで具体的にどのようなことができるのか、基本的な使い方から応用的なワークフローの作り方までは、以下の記事で網羅的に解説しています。ぜひ、サーバー構築と並行してご覧ください。
→ 【完全ガイド】n8nとは?話題の業務自動化ツールを徹底解説!導入メリットと始め方
まとめ:最適なVPSを選んで、n8nによる業務自動化を始めよう
本記事では、n8nのセルフホストに最適なVPSとして、ConoHa VPS、Xserver VPS、DigitalOceanの3社を比較解説しました。
- ConoHa VPS: 初心者でも安心の使いやすさと国内での実績。
- Xserver VPS: Webサイト運営も見据えた高速性と高い信頼性。
- DigitalOcean: 圧倒的なコストパフォーマンスと開発者向けの拡張性。
それぞれに異なる強みがありますが、どれを選んでもn8nを快適に運用するための十分な性能を備えています。VPSの契約は、業務自動化という大きな目標を達成するための、ほんの小さな第一歩にすぎません。最も重要なのは、実際に環境を構築し、手を動かしてみることです。
幸いなことに、n8nはセルフホストであれば無料で利用を開始できます。ぜひ、この記事を参考にあなたの目的に合ったVPSを選び、今すぐn8nのパワフルな自動化機能を体験してみてください。公式サイトから最新情報をチェックして、その可能性を確かめてみましょう。
