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X(旧Twitter) API有料化後のn8n活用術!投稿予約と分析を自動化する設定

X(旧Twitter)のAPI仕様が変更され、多くの便利なサードパーティ製ツールが使えなくなり、頭を抱えているSNS担当者の方も多いのではないでしょうか。

これまで当たり前だった投稿予約や分析機能が有料になり、SNS運用のコストと手間は増える一方です。

しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。

実は、iPaaS(Integration Platform as a Service)と呼ばれるノーコード自動化ツール「n8n」を活用することで、この問題を解決できる可能性があります。

この記事では、XのAPIが有料化された今だからこそ知ってほしい、n8nを使った投稿予約と分析の自動化設定について、具体的な手順を交えながら詳しく解説します。

この記事を読めば、コストをかけずに再び効率的なX運用を取り戻すヒントが得られるはずです。

なぜ今n8nがX(旧Twitter)運用の最適解なのか?

XのAPI有料化によって、多くのマーケターや企業が代替手段を探しています。その中で、なぜ「n8n」が注目されているのでしょうか。他のツールと比較しながら、その理由を3つのポイントで解説します。

X API有料化の現状とマーケターへの影響(2025年12月時点)

まず、現状を整理しましょう。2023年に行われたXのAPI仕様変更により、無料プラン(Free)には厳しい制限が設けられました。具体的には、月間の投稿数が1,500件までに制限され、そして何より投稿データの読み取り(ツイートの検索や分析データの取得など)ができなくなりました。

これにより、以下のような影響が出ています。

  • 投稿予約ツールの機能停止・有料化: 多くの無料予約投稿ツールがサービスを終了、または高額な有料プランへの移行を余儀なくされました。
  • 分析機能の制限: インプレッションやエンゲージメント率などを自動で取得・分析していたツールが機能しなくなり、効果測定が困難になりました。
  • 手動運用の負担増: ツールに頼っていた部分を手作業で行う必要が生まれ、SNS担当者の業務負担が増加しています。

このような状況下で、ただコストを払って有料ツールを使い続けるのではなく、より柔軟でコスト効率の高い方法が求められています。そこで登場するのがn8nです。

n8nが持つ3つの大きなメリット

n8nは、ドイツで開発されたオープンソースのワークフロー自動化ツールです。プログラミングの知識がなくても、様々なアプリケーションやサービスを連携させ、業務を自動化できます。n8nがX運用の代替案として優れている理由は、以下の3点です。

  1. 圧倒的なコストパフォーマンス: n8nには、自分でサーバーにインストールして無料で使えるセルフホスト版と、手軽に始められるクラウド版があります。クラウド版も非常に安価なプランから用意されており、高額なSNS管理ツールと比較して大幅にコストを削減できます。
  2. ノーコードで実現する高い柔軟性: n8nの最大の特徴は、ノードと呼ばれる機能ブロックを繋ぎ合わせるだけで、直感的にワークフローを構築できる点です。Xへの投稿はもちろん、GoogleスプレッドシートやSlack、WordPressなど、数百種類のサービスと自由に連携できます。「スプレッドシートの情報を元に定時に投稿し、投稿後にSlackへ通知する」といった、自社に最適化された独自の自動化ルールを簡単に作成可能です。
  3. APIの制限を乗り越える拡張性: n8nは単なる投稿ツールではありません。例えば、XのAPIだけでは難しい分析も、他のサービスと組み合わせることで「簡易的な分析基盤」を構築できます。この記事の後半で詳しく解説しますが、この拡張性の高さが他の代替案にはない大きな強みです。

より詳しいn8nの基本機能や導入方法については、n8n完全ガイド記事で網羅的に解説していますので、ぜひそちらもご覧ください。

他の代替案(Zapier, Bufferなど)との比較

自動化ツールとして有名な「Zapier」や、SNS管理ツールの「Buffer」「Hootsuite」なども代替案として挙げられます。しかし、n8nには明確な優位点があります。

  • Zapierとの比較: Zapierは非常に使いやすいツールですが、無料プランでは実行できるタスク数に厳しい制限があります。複雑なワークフローを組むと、すぐに上限に達してしまうでしょう。一方、n8nのセルフホスト版なら、サーバーのスペックが許す限りタスク数の制限はありません。コストを気にせず、思う存分自動化を試せます。
  • Buffer/Hootsuiteとの比較: これらのSNS管理ツールは高機能ですが、その分料金も高額になりがちです。また、機能はあくまで提供されている範囲内に限られます。n8nであれば、Xの運用だけでなく、ブログ投稿の通知、顧客管理システムとの連携など、マーケティング活動全体の自動化も視野に入れることができます。特定の用途に縛られない汎用性の高さがn8nの魅力です。

結論として、コストを抑えつつ、自社の運用に合わせて柔軟に自動化を構築したいのであれば、n8nは最も有力な選択肢と言えるでしょう。

【実践編】n8nでX(旧Twitter)への投稿予約ワークフローを構築する

ここからは、n8nを使って実際にXへの投稿を予約するワークフローの作り方をステップバイステップで解説します。今回は、多くの人が使い慣れているGoogleスプレッドシートをデータベースとして活用する方法をご紹介します。

ステップ1: 準備するもの

ワークフロー構築を始める前に、以下の3つを準備してください。

  • n8nアカウント: まだアカウントがない方は、手軽に始められるクラウド版がおすすめです。公式サイトからサインアップして、n8nの環境を準備しましょう。
  • X Developerアカウント: XのAPIを利用するには、Developerアカウントの登録が必要です。審査が必要ですが、利用目的を明確に記述すれば個人でも取得可能です。APIキー(API Key, API Key Secret)とアクセストークン(Access Token, Access Token Secret)を取得しておきます。
  • Googleアカウント: 投稿内容を管理するためのGoogleスプレッドシートを作成します。

ステップ2: Googleスプレッドシートで投稿リストを作成

まず、投稿内容を管理するGoogleスプレッドシートを作成します。以下のような構成のシートを用意しましょう。

  • A列: post_datetime (投稿したい日時を `YYYY-MM-DD HH:MM` 形式で入力)
  • B列: content (投稿する本文を入力)
  • C列: status (投稿状況を管理する列。最初は空欄にしておきます)

このシートに、予約したい投稿をどんどん追記していきます。n8nがこのシートを定期的にチェックし、指定された日時に投稿を実行する仕組みです。

ステップ3: n8nワークフローの構築手順

いよいよn8nでワークフローを構築します。n8nのキャンバスを開き、以下のノードを順番に配置・設定していきましょう。

1. Scheduleトリガーノード

ワークフローを定期的に実行するためのトリガーです。

  • ノードを追加し、「Schedule」を検索して選択します。
  • Trigger Times: 「Every 15 Minutes」など、チェックしたい頻度に設定します。投稿時間と多少のラグは許容範囲と考え、15分〜1時間ごとの実行がおすすめです。

2. Google Sheetsノード (データ読み込み)

スプレッドシートから投稿データを取得します。

  • 「+」をクリックし、「Google Sheets」ノードを追加します。
  • Authentication: 初めて使う場合は、お使いのGoogleアカウントを認証します。
  • Resource: 「Sheet」を選択します。
  • Operation: 「Read」を選択します。
  • Spreadsheet ID: 対象スプレッドシートのURLからID部分をコピーして貼り付けます。
  • Range: 「Sheet1」のようにシート名を入力します。これでシート全体のデータを取得できます。

3. IFノード (投稿条件の判定)

「投稿日時が来たか?」「まだ投稿されていないか?」を判定する重要なノードです。

  • 「IF」ノードを追加します。
  • Conditions > Add Condition > Date & Time を選択します。
  • Value 1: Expressionエディタを開き、 `{{ $json.post_datetime }}` を設定します。これはスプレッドシートの `post_datetime` 列の値を指します。
  • Operation: 「Before」を選択します。
  • Value 2: `{{ $now }}` を設定します。これは現在の時刻を指します。
  • さらに Add Condition > String を選択し、AND条件を追加します。
  • Value 1: `{{ $json.status }}` を設定します。
  • Operation: 「Is Empty」を選択します。

この設定により、「post_datetimeが現在時刻より前」かつ「statusが空欄」のデータのみが、IFノードの「true」出力に進むようになります。

4. Twitterノード (投稿実行)

IFノードの「true」側に「Twitter」ノードを接続します。

  • Authentication: 初めて使う場合は、「Create New」からX Developerアカウントで取得したAPIキーとアクセストークンを設定します。
  • Resource: 「Tweet」を選択します。
  • Operation: 「Create」を選択します。
  • Text: Expressionエディタを開き、 `{{ $json.content }}` を設定します。これでスプレッドシートの `content` 列の内容が投稿されます。

5. Google Sheetsノード (ステータス更新)

最後に、投稿済みのデータにフラグを立て、二重投稿を防ぎます。Twitterノードの後に「Google Sheets」ノードを接続します。

  • Operation: 「Update」を選択します。
  • Spreadsheet ID / Range: 読み込み時と同じ設定をします。
  • Key: 「post_datetime」など、行を特定できるユニークな列を指定します。
  • Key Value: `{{ $json.post_datetime }}` を設定します。
  • Fields to Update > Add Field をクリックします。
  • Key: 「status」と入力します。
  • Value: 「posted」や `{{ $now }}` (投稿した日時)などを入力します。

これでワークフローは完成です!右上の「Active」をオンにすれば、設定したスケジュールで自動的にスプレッドシートをチェックし、投稿予約が実行されます。

さらに一歩先へ!n8nで投稿パフォーマンスを簡易分析する

前述の通り、XのFree APIでは「いいね」や「リツイート」などのパフォーマンスデータを自動で取得することはできません。しかし、n8nと他のツールを組み合わせることで、分析作業を効率化する「半自動化」の仕組みを構築することは可能です。

Freeプランの制約と現実的な分析アプローチ

まず、APIの制約を正しく理解することが重要です。インプレッション、エンゲージメント数、プロフィールクリック数といった重要な指標は、API経由では取得できません。これらはX公式のアナリティクス画面で確認する必要があります。

そこで、「n8nで自動化できる部分」と「手動で行う部分」を明確に切り分けるアプローチが現実的です。n8nには投稿実績の記録を自動化させ、人間は付加価値の高い「分析」と「考察」に集中する環境を目指します。

Googleスプレッドシートを活用した分析基盤の構築

先ほどの投稿予約ワークフローに少し手を加え、分析用の基盤を作成します。

  1. 分析用スプレッドシートの準備: 新しいGoogleスプレッドシートを作成し、以下の列を用意します。
    `投稿日時`, `投稿内容`, `投稿URL`, `インプレッション`, `エンゲージメント`, `いいね`, `リツイート`, `考察`
  2. 投稿予約ワークフローの変更:
    • 「Twitter」ノードの設定で、Options > Return All > ON にします。これにより、投稿結果(投稿IDなど)が次のノードに渡されます。
    • 「Twitter」ノードの後に「Google Sheets」ノード(Append操作)を追加します。
    • このノードで、分析用スプレッドシートに「投稿日時」「投稿内容」「投稿URL」(`https://x.com/[YourScreenName]/status/{{ $json.id }}` のように生成)を自動で追記するように設定します。
  3. 手動でのデータ入力(週1回など):
    SNS担当者は、週に1回などの頻度でXのアナリティクス画面を開き、分析用スプレッドシートの「インプレッション」や「エンゲージメント」などの空欄の列に数値を手動で転記します。

一見、手間がかかるように思えますが、「どの投稿のデータを入力すべきか」というリストが自動で作成されるため、作業は数値を転記するだけです。これにより、分析データの蓄積が効率化され、入力漏れも防げます。

n8nで定点観測レポートを自動通知する

さらに、蓄積したデータを活用する仕組みもn8nで自動化できます。例えば、「毎週月曜日の朝10時に、先週1週間のパフォーマンスサマリーをSlackに通知する」といったワークフローです。

  • Scheduleトリガー: 毎週月曜10時に設定。
  • Google Sheetsノード (Read): 分析用シートから先週分のデータを読み込む。
  • Functionノード: 読み込んだデータから、インプレッションの合計値や平均エンゲージメント率などを計算する簡単なJavaScriptを記述。
  • Slackノード: 計算結果を整形し、指定したチャンネルにメッセージとして投稿する。

これにより、チームメンバー全員が手間なくXのパフォーマンスを定点観測できるようになります。手動での数値入力という一手間をかけるだけで、n8nがその後の面倒な集計と報告作業をすべて代行してくれるのです。これは、単なるSNS管理ツールでは実現が難しい、n8nならではの強力な活用法と言えるでしょう。

まとめ:n8nでAPI有料化の壁を乗り越えよう

この記事では、X(旧Twitter)のAPIが有料化された後の新しいSNS運用術として、ノーコード自動化ツールn8nの活用法を解説しました。

重要なポイントを振り返ります。

  • X APIのFreeプランには厳しい制限があるが、n8nを使えば無料で投稿予約の自動化が可能
  • Googleスプレッドシートと組み合わせることで、誰でも簡単に投稿管理ができる。
  • APIで取得できない分析データは、手動入力を組み合わせた「半自動化」で効率的に蓄積・活用できる。
  • n8nは単なる代替ツールではなく、Slack通知など他のサービスと連携させることで、自社に最適化された運用体制を構築できる強力な武器になる。

XのAPI有料化は一見すると逆風ですが、見方を変えれば、これまでの運用を見直し、より本質的で効率的な体制を構築する絶好の機会です。n8nを使いこなせば、コストを削減しながら、これまで以上にスマートなSNS運用が実現できるはずです。

n8nの可能性は、この記事で紹介しただけに留まりません。まずは無料で始められるクラウドプランから、その計り知れないパワーをぜひ体感してみてください。導入手順やさらに発展的な使い方については、n8n完全ガイド記事もきっとあなたの助けになるはずです。