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n8nとWhisper APIで音声データを自動文字起こし!会議録音のテキスト化フロー

会議の議事録作成、インタビューの文字起こし…。

録音された音声データを聞き直してテキストに書き起こす作業は、非常に時間がかかり、集中力も必要ですよね。

もし、この面倒な作業を自動化できるとしたら、あなたの業務はどれだけ効率的になるでしょうか。

実は、iPaaS(Integration Platform as a Service)と呼ばれるクラウドサービス「n8n」と、OpenAIが提供する高精度な音声認識モデル「Whisper API」を組み合わせることで、その夢のような環境を構築できるのです。

この記事では、プログラミングの専門知識がなくても実践できる、音声データの自動文字起こしフローの構築方法を、具体的な手順に沿って詳しく解説します。

(この記事は2025年12月時点の情報を基に執筆しています)

なぜ今、文字起こし自動化が重要なのか?n8nとWhisper APIの組み合わせが最強な理由

日々の業務の中で、音声データを扱う場面は意外と多いものです。しかし、その活用には常に「文字起こし」という大きな壁が立ちはだかります。まずは、手作業による文字起こしの課題と、それを解決するn8nとWhisper APIの組み合わせがいかに強力であるかを見ていきましょう。

手作業による文字起こしが抱える3つの課題

手作業での文字起こしには、主に3つの大きな課題が存在します。

  • 圧倒的な時間的コスト: 一般的に、1時間の音声データを文字起こしするには、3〜4時間かかると言われています。これは、本来他の業務に使えるはずだった貴重な時間を奪ってしまいます。
  • ヒューマンエラーの発生: 長時間集中力を維持するのは難しく、聞き間違いやタイピングミスなどのヒューマンエラーは避けられません。特に専門用語や固有名詞が多い場合、その精度を担保するのは至難の業です。
  • 精神的な負担: 単純作業の繰り返しは、モチベーションの低下につながります。創造的ではない作業に時間を費やすことは、多くのビジネスパーソンにとって大きな精神的負担となります。

これらの課題を解決する鍵が、テクノロジーによる「自動化」です。

Whisper APIとは?その驚くべき音声認識精度

Whisper APIは、ChatGPTを開発したOpenAIが提供する、最先端の音声認識モデルです。その最大の特徴は、圧倒的な認識精度の高さにあります。

従来の音声認識サービスが苦手としていた、多少の雑音がある環境や、複数人が話す場面、早口な会話などでも、非常に高い精度でテキスト化を実現します。特に日本語の認識能力は驚異的で、句読点まで自動で挿入してくれるため、後から手直しする手間が大幅に削減されます。

もはや、Whisper APIは単なる音声認識ツールではなく、信頼できる業務アシスタントと言えるほどの性能を持っています。

n8nがハブになる!ノーコードでAPIを繋ぐ魔法

「Whisper APIが凄いのはわかったけど、APIを使うのは難しそう…」と感じた方もいるかもしれません。そこで登場するのが、iPaaSツール「n8n」です。

n8nは、プログラミングの知識がなくても、様々なWebサービスやAPIを視覚的なインターフェースで連携させることができるツールです。まるでレゴブロックを組み合わせるように、トリガー(処理のきっかけ)とアクション(実行する処理)を繋いでいくだけで、自分だけの業務自動化フロー(ワークフロー)を構築できます。

このn8nをハブとして利用することで、音声ファイルが保存されているGoogle DriveやDropboxと、高精度なWhisper API、そして文字起こし結果を通知するSlackや保存先のGoogle Docsなどを、簡単に連携させることが可能になるのです。

実践!n8nでWhisper API文字起こしフローを構築する全手順

それでは、実際にn8nを使って音声データを自動で文字起こしするワークフローを構築していきましょう。ここでは、手動でワークフローを実行し、指定した音声ファイルをWhisper APIで文字起こしする基本的なフローを作成します。

準備するものリスト

ワークフロー構築を始める前に、以下の3つを準備してください。

  • n8nのアカウント: クラウド版であれば、公式サイトからサインアップするだけですぐに利用を開始できます。
  • OpenAI APIキー: OpenAIの公式サイトでアカウントを作成し、APIキーを発行しておきましょう。
  • 文字起こししたい音声ファイル: MP3, WAV, M4Aなど、Whisper APIがサポートする形式の音声ファイルを用意します。今回はPC上のファイルを直接アップロードする方法で進めます。

ステップ1: ワークフローのトリガーを設定する

まず、n8nで新しいワークフローを作成します。最初に表示される「Start」ノードがワークフローの開始点です。今回は手動で実行するため、このままでOKです。このノードは「Manual Trigger」とも呼ばれ、テスト実行に非常に便利です。

ステップ2: OpenAI (Whisper) ノードを追加・設定する

次に、Whisper APIと連携するためのノードを追加します。ノード追加ボタン(+)をクリックし、「OpenAI」と検索して選択します。

  1. 認証情報の設定: 「Credential for OpenAI API」のドロップダウンから「Create New」を選択し、先ほど取得したOpenAIのAPIキーを登録します。
  2. リソースと操作の選択:
    • 「Resource」を「Audio」に設定します。
    • 「Operation」を「Create Transcription」に設定します。
  3. 音声ファイルの指定:
    • 「File」のトグルを有効にします。
    • 「Source」で「File from Computer」を選択し、用意した音声ファイルをアップロードします。
  4. モデルの選択: 「Model」で「whisper-1」を選択します。これがWhisperの標準モデルです。

これで、Whisper APIに音声ファイルを送信する準備が整いました。非常に直感的で簡単だったのではないでしょうか。

ステップ3: ワークフローを実行し、結果を確認する

画面右上の「Execute Workflow」ボタンをクリックして、ワークフローを実行してみましょう。処理が正常に完了すると、OpenAIノードに緑色のチェックマークが付きます。

ノードをクリックして右側の「Output」タブを確認すると、「JSON」の中に「text」という項目が見つかるはずです。ここに、Whisper APIによって文字起こしされたテキストが格納されています。この精度の高さに、きっと驚くことでしょう。

ステップ4: 結果を扱いやすい形に整形・保存する

最後に、得られたテキストデータを活用するために、結果を整形・保存するステップを追加します。例えば、「Set」ノードを使うと、後の工程で使いやすいようにデータ構造を整理できます。

「+」ボタンから「Set」ノードを追加し、以下のように設定します。

  • 「Name」に「transcribed_text」など分かりやすい名前を付けます。
  • 「Value」の右側にある歯車アイコンから「Add Expression」を選択します。
  • 入力欄に `{{ $(‘OpenAI’).item.json.text }}` と入力します。これは、前のOpenAIノードの出力結果(JSON形式)の中から、textプロパティの値を取得するという意味です。

このSetノードの後ろに、Google Docsノードを繋げば議事録としてドキュメントを作成したり、Slackノードを繋いで特定チャンネルに通知したりと、用途に応じたアクションを追加できます。

もっと便利に!文字起こしフローの応用カスタマイズ術

基本的な文字起こしフローが完成したら、次はさらに実用的なカスタマイズを加えて、業務に完全に組み込んでいきましょう。n8nの真価は、こうした柔軟な拡張性にあります。

Google Drive連携で「完全自動化」を実現する

毎回手動でファイルをアップロードするのは少し手間です。そこで、Google Driveと連携し、特定のフォルダに音声ファイルがアップロードされたことをきっかけに、自動で文字起こしが実行されるフローを構築しましょう。

最初の「Start」ノードを「Google Drive Trigger」ノードに置き換えます。「Event」として「File Created」を選択し、監視したいフォルダを指定します。これにより、あなたが会議の録音ファイルをそのフォルダに入れるだけで、数分後には文字起こしが完了している、という未来が実現します。

要約AIとの連携で「議事録作成」まで自動化

文字起こしされたテキストは、そのままでは情報量が多く、要点を掴むのが大変な場合があります。そこで、後続のステップにChatGPTやGeminiといった大規模言語モデル(LLM)を組み込んでみましょう。

Whisper APIの出力結果を、今度はOpenAIノードの「Chat」モデル(`gpt-4`など)に渡し、「このテキストを要約し、重要な決定事項と担当者を箇条書きでリストアップしてください」といったプロンプト(指示)を送ります。これにより、単なるテキストデータが、即座にアクションに繋がる議事録へと進化します。

エラーハンドリングと通知設定

自動化システムを安定して運用するためには、エラーハンドリングが欠かせません。例えば、音声ファイルの形式が間違っていたり、APIの調子が悪かったりして処理が失敗することもあり得ます。

n8nでは、各ノードの設定で「Continue on Fail」を有効にしたり、「Error Trigger」ノードを使ったりすることで、エラー発生時の代替処理を定義できます。処理が失敗した際には、Slackやメールで管理者に通知を送るように設定しておけば、問題に迅速に対処でき、安心してシステムを運用できます。

n8nには、ここで紹介した以外にも無数の可能性があります。より体系的にn8nの基本的な使い方から応用例までを学びたい方は、n8nの全体像を網羅したn8n完全ガイド記事もぜひご覧ください。あなたの自動化のアイデアがさらに広がるはずです。

まとめ:面倒な文字起こし作業から解放されよう

本記事では、自動化ツールn8nと高精度な音声認識AIであるWhisper APIを連携させ、音声データの文字起こしを自動化する具体的なフローとその応用例を解説しました。

重要なポイントを振り返りましょう。

  • 手作業の文字起こしは時間とコストがかかり、ミスも発生しやすい。
  • Whisper APIを使えば、驚くほど高精度な文字起こしが可能になる。
  • n8nを活用することで、プログラミング知識がなくてもAPI連携を伴う複雑な自動化フローを構築できる。
  • Google Driveや要約AIと組み合わせることで、さらに実用的なシステムへと拡張できる。

これまで文字起こしに費やしていた時間を解放することで、あなたはもっと分析や企画といった創造的な業務に集中できるようになります。これは、単なる時短術ではなく、あなたのビジネスにおける生産性を根底から向上させる強力な一手です。

まずは無料で始められるn8nのアカウントを作成し、あなたの最初の自動化ワークフローを構築してみませんか?

さあ、あなたもn8nで業務自動化の第一歩を踏み出しましょう。