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税理士に決算だけ依頼する費用と失敗しない選び方【2026年最新】

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税理士に決算のみ(スポット契約)を依頼する費用相場は、個人事業主で5万〜15万円、法人で15万〜30万円が中心です(いずれも自己記帳が完了していることが前提)。顧問契約を結ばず決算・申告の時期だけ単発で依頼する方法で、固定費を年20万〜30万円ほど圧縮できる一方、節税提案が受けられない・繁忙期は断られやすいといったリスクもあります。

「日々の記帳は自分でやっているけれど、最後の申告書作成だけはプロに任せたい」という個人事業主や法人経営者にとって、決算のみの依頼は合理的な選択肢です。ただし相場を知らずに依頼して見積りが2倍に膨らんだり、そもそも受けてくれる税理士が見つからなかったりするケースも少なくありません。とくに時点では、インボイス制度や電子帳簿保存法の定着で経理処理の複雑さが増しています。

この記事の結論(30秒サマリー)

  • 費用相場:個人事業主は5万〜15万円、法人は15万〜30万円が中心レンジ(自己記帳完了が前提)
  • 格安になる条件:免税事業者・年商1,000万円未満・自己記帳完了・修正仕訳が少ない、の4条件が揃えば6万円台も可能
  • 主なリスク:節税提案が受けられない/繁忙期(2〜3月)は断られやすい/税務調査の立会いは別途5万〜30万円
  • 探し方:自力検索より税理士ドットコムなどの紹介サービスでスポット対応可の税理士を絞り込むのが効率的

税理士に決算のみ依頼する費用相場【2026年最新】売上規模別

税理士に「決算申告のみ」を依頼する形態を、業界用語で「年一(ねんいち)契約」または「スポット契約」と呼びます。年一契約とは、顧問契約を結ばず決算・申告の時期だけ単発で税理士と契約する依頼形態のことです。費用は「売上規模」「消費税申告の有無」「記帳の完了状況」によって大きく変動します。

個人事業主(確定申告のみ)の費用相場

個人事業主が決算のみ(確定申告のみ)を依頼する費用の相場は5万〜15万円です(年商1,000万円未満・青色申告の場合)。クラウド会計(freee・マネーフォワード)で記帳が完了していれば、最安帯は6万〜8万円が目安になります。売上規模で基本料金が変わるため、下表で確認してください。

年間売上 基本料金(消費税申告なし) 消費税申告ありの場合
500万円未満 5万円〜10万円 8万円〜15万円
500万〜1,000万円未満 5万円〜15万円(最安6万〜8万円) 8万円〜20万円
1,000万円以上(課税事業者) 10万円〜20万円 13万円〜25万円

広告で「6万円台〜」と表示される最安値は、あくまで消費税申告なし・記帳完了済み・修正仕訳ほぼゼロという条件下のみ適用される金額です。実際には次のような追加費用が発生し、支払い総額が当初見積りの2倍になることも珍しくありません。

  • 消費税申告の追加:+3万〜5万円(インボイス登録事業者など)
  • 帳簿チェック・修正仕訳作業:+2万〜10万円
  • 過年度の修正申告が必要なケース:+3万〜10万円
  • e-Tax電子申告の代行料:+1万〜2万円

法人の決算申告の費用相場

法人の決算申告のみを依頼する費用の相場は15万〜30万円が中心です(年商3,000万円未満・自己記帳完了の場合)。法人は法人税申告書・地方税申告書・勘定科目内訳書・事業概況説明書など作成書類が多く、税務リスクも高いため、個人の確定申告より費用は高めに設定されています。

売上規模 基本料金(消費税申告なし) 消費税申告ありの場合
売上1,000万円未満 15万円〜20万円 17万円〜25万円
売上1,000万〜3,000万円 20万円〜30万円 23万円〜35万円
売上3,000万〜5,000万円 25万円〜40万円 28万円〜45万円
売上5,000万円超 35万円〜50万円 40万円〜60万円

時点では、インボイス制度(2023年10月開始の適格請求書等保存方式)や電子帳簿保存法への対応チェック(適格請求書の保存状況確認、電子取引データの保存形式チェック等)が新たに加わり、これらに対応する追加料金として2万〜5万円程度が見積りに乗るケースも増えています。なお、電子帳簿保存法では2024年1月から電子取引データの電子保存が義務化されており、紙保存のみの事業者は決算時に対応工数が上乗せされやすい点に注意してください。

地域別の費用相場(首都圏・関西・地方)

決算のみの費用は地域によっても変わり、首都圏は地方より2〜3割ほど高くなる傾向があります。事務所の家賃や人件費の差が料金に反映されるためで、オンライン対応の事務所を選べば地域差を縮められます。あくまで目安ですが、自己記帳完了を前提とした地域別レンジは下表のとおりです。

地域 個人事業主 法人
東京都内・首都圏 8万円〜18万円 20万円〜35万円
大阪・関西圏 6万円〜15万円 15万円〜28万円
地方(政令市以外) 5万円〜12万円 12万円〜25万円

近年はクラウド会計の普及で、初回相談からオンライン完結できる事務所が大半になりました。地方在住でも全国の税理士から選べるため、地域相場が高い首都圏の方は遠隔対応の事務所を比較対象に入れると費用を抑えやすくなります。オンライン面談で実力を見極めるコツは税理士とのオンライン面談で信頼性を見抜くチェックポイントで詳しく解説しています。

業種別の申告難易度と追加料金の目安

同じ売上規模でも、業種固有の会計論点があると追加料金が発生します。在庫管理・原価計算・按分処理が必要な業種ほど工数が増え、基本料金に上乗せされます。代表的な業種の追加料金目安は次のとおりです。

業種 固有の論点 追加料金の目安
建設業 完成工事高基準・外注費管理 +3万〜8万円
不動産賃貸業 減価償却・修繕費vs資本的支出の判定 +2万〜5万円
飲食業 現金売上の管理・棚卸 +2万〜4万円
EC(Amazon・楽天等) プラットフォーム手数料の会計処理 +1万〜3万円

見積り依頼の段階で自社の業種と取引の特徴を正確に伝えると、業種特有の論点を踏まえた金額が出やすく、後からの追加請求トラブルを避けられます。

格安料金(6万円台〜)が適用される具体的な条件

「決算のみ6万円〜」という格安料金が適用されるのは、次の5条件をすべて満たした場合のみです。1つでも外れると追加料金で価格帯が一段上がります。

  1. 年商1,000万円未満であること
  2. 消費税申告が不要(免税事業者である)こと
  3. 自己記帳が完了しており帳簿の精度が高いこと(残高試算表が合っている)
  4. 修正仕訳が少ない(税理士が手を入れる必要が最小限)こと
  5. freee・マネーフォワードなど対応会計ソフトを使用していること

逆に「領収書の丸投げ」から依頼する場合は別途「記帳代行料」が発生します。記帳代行料の相場は仕訳数にもよりますが、月額換算で1万〜3万円が上乗せされる計算になり、決算時にまとめて依頼すると追加で10万〜30万円かかることも珍しくありません。コストを抑えるには、クラウド会計ソフトで日々の入力を済ませておくことが絶対条件です。

税理士費用が決まる4つの要因

決算のみの見積りは事務所ごとにばらつきますが、金額を左右する要因は大きく4つです。「売上規模・記帳代行の有無・消費税申告の有無・業種の複雑性」の組み合わせで価格帯が決まると理解しておくと、見積りの妥当性を判断できます。

要因1:年間売上規模

売上規模が大きいほど費用は上がります。取引量・税務リスク・チェック工数が増えるためで、個人事業主では売上500万円未満と1,000万円超で5万円前後の差が出ます。法人も売上1,000万円未満と5,000万円超では基本料金が2倍以上開きます。

要因2:記帳代行の有無

記帳を自分で完了(自計化)していれば3万〜8万円ほど安くなります。逆に領収書を丸投げして記帳代行から依頼すると、その分の作業料が上乗せされます。クラウド会計で自計化しているかどうかが、格安帯に入れるかの分岐点です。

要因3:消費税申告の有無

消費税の課税事業者(インボイス登録事業者など)は、消費税申告の分で2万〜5万円が追加されるのが相場です。適格請求書の保存状況確認が必要なケースでは、さらに1万〜2万円が乗ることもあります。免税事業者であればこの加算は発生しません。

要因4:業種の複雑性と面談頻度

在庫管理が必要な小売・製造業、完成工事高基準を使う建設業、複数拠点を持つ事業、不動産収入があるケースは割増になりやすい要因です。論点が多いほど確認の質疑応答が増え、税理士の作業工数が膨らむためです。

決算のみの税理士費用を安く抑える4つの方法

決算のみの費用は工夫次第で1〜2割は圧縮できます。「相見積もり・依頼時期・自己記帳・書類準備」の4点を押さえるのが基本です。順番に解説します。

方法1:相見積もりを2〜3社取る

比較相手がいると価格交渉の余地が生まれます。同条件で2〜3社の見積りを取ると、平均15〜20%程度の差が見えてくることが多く、相場から外れた高額提示を避けられます。紹介サービスを使えば、同じ条件で複数事務所の見積りをまとめて取り寄せられます。

方法2:繁忙期(2〜3月)を避けて相談する

決算月の翌月〜2ヶ月後の閑散期に相談すると価格交渉しやすくなります。1月〜3月の個人確定申告期、4月〜5月の3月決算法人申告期は税理士側の受注余力がなく、特急料金が乗りがちです。閑散期は受注意欲が高く、丁寧に対応してもらえる傾向があります。

方法3:freee・マネーフォワードで記帳を完了させてから依頼する

記帳代行込みとの差額(3万〜5万円)を削減できます。「あとはチェックするだけ」の状態で渡せば税理士の作業工数が最小化され、最安帯の料金が適用されます。クラウド会計を使えば税理士側もデータ連携で確認できるため、やり取りもスムーズです。

方法4:必要書類一式を事前準備して渡す

試算表・通帳コピー・領収書・前年の申告書・固定資産台帳を整理して渡すと、税理士の確認工数が減り料金に反映されます。資料の不足や差し戻しが多いと、それだけ作業日数と費用が増えます。問い合わせフォームでの伝え方ひとつで紹介品質も変わるため、問い合わせフォームで希望条件を的確に伝えるコツも事前に確認しておくと安心です。

【自己診断】「記帳完了」の5項目チェックリスト

格安帯の前提となる「記帳完了」とは、次の5項目をすべて満たした状態を指します。freee・マネーフォワード利用者は、ステータス表示も併せて確認してください。

  • ① 全口座の銀行照合(残高一致)が完了している
  • ② 売掛金・買掛金の期末残高リストを作成済み
  • ③ 固定資産の取得・除却を台帳に記録済み
  • ④ freeeなら「要確認」仕訳がゼロ件、マネーフォワードなら「未確認」取引がゼロ件
  • ⑤ 前払費用・未払費用などの経過勘定を計上済み

5項目すべてにチェックが付けば、最安帯の料金で受けてもらえる可能性が高い状態です。1つでも残っていると、税理士側の修正作業が発生して追加料金につながります。

【2分で診断】決算のみ依頼が向いている人・向いていない人

自分が「決算のみ依頼に向いているタイプ」かどうかを30秒で確認しましょう。以下の対比リストで、どちらに多く当てはまるかをチェックしてください。

決算のみ依頼が向いている方 顧問契約のほうが向いている方
免税事業者(消費税申告なし) 消費税の課税事業者(インボイス登録済み等)
年商1,000万円未満 融資・補助金申請を検討している
会計ソフトで日々の記帳ができている 取引が複雑(多店舗・海外取引・在庫管理あり)
節税より「申告コスト削減」を優先したい 役員報酬・減価償却など節税余地が大きい
シンプルなビジネス(一人会社・フリーランス) 月次の数値で経営判断したい

左側に4つ以上当てはまるなら、決算のみ依頼は合理的な選択です。逆に右側に多く当てはまる場合は、顧問契約のほうが結果的に得になる可能性が高いため、この記事の「顧問契約のほうが得になるケース」も必ず読み進めてください。

決算申告のみを依頼する5つのメリット

毎月の顧問料(月額3万〜5万円程度)を支払わずに決算時のみ依頼することには、コスト面・信用面・自由度の面で明確なメリットがあります。

1. 年間の税理士費用を大幅に節約できる

最大のメリットはコスト削減です。一般的な顧問契約は、月額顧問料(例:月3万円×12ヶ月=36万円)+決算料(例:15万円)で年間50万円以上かかります。一方、決算申告のみのスポット契約なら15万〜25万円程度で済みます。試算すると、月額顧問料2万円×12ヶ月+決算料15万円=年間39万円に対し、スポット決算のみ15万円なら差額24万円の固定費削減。創業期や資金繰りを重視したい時期には大きな効果があります。

2. プロの品質でDIY申告のミスと税務調査リスクを減らせる

「自分でも申告はできる」という方でも、税法の頻繁な改正(インボイス制度・定額減税・電子帳簿保存法など)をすべて把握するのは困難です。自力(DIY)申告では経費の計上漏れや勘定科目の誤りが起きやすく、過少申告加算税などのペナルティにつながることもあります。税理士に依頼し申告書に税理士の署名(書面添付制度を利用すればなお良い)が入ることで税務署からの信頼度が高まり、明らかなミスや計上漏れを防げます。

3. 税理士との人間関係に縛られない

顧問契約は相性が合わない場合でもすぐに解約しづらい心理的ハードルがあります。スポット契約はその場限りの関係のため、相性が悪ければ翌年は別の税理士に依頼できます。「まずは一度試してみたい」という方にもハードルの低い依頼方法です。

4. 正規の決算書が金融機関・取引先への社会的信用を高める

税理士が作成した決算書・申告書は、融資審査や与信判断で評価されます。金融機関は申告書の信ぴょう性を重視するため、税理士の関与が確認できる決算書は、自力作成のものより信頼されやすいのが実態です。将来の融資や取引拡大を見据えるなら、正規の決算書を用意しておく価値は大きいといえます。

5. 決算業務から解放され本業に集中できる

申告書作成を外注すれば、経営者自身の作業時間を本業に回せます。法人決算を自力で行うと数十時間を要することも多く、経営者の時給を仮に5,000円とすれば、20時間で10万円分の機会コストです。外注費と自社作業の時間コストを比べると、依頼したほうが合理的なケースは少なくありません。

決算申告のみを依頼するデメリットと7つの隠れリスク

一方で、安易にスポット契約を選ぶことにはリスクも伴います。時点で特に注意すべき点を7つ解説します。

1. 節税対策の提案が受けられない

これが最大のデメリットです。決算が終わった後に「もっと利益が出ていたので節税したかった」と相談しても時すでに遅しです。節税対策の多くは期中に行う必要があります(倒産防止共済への加入、備品の購入、役員報酬の変更など)。決算数値が固まった後に税理士ができるのは適正な申告書を作ることだけで、納税額を減らす魔法は使えません。

2. 繁忙期(2〜3月)は断られる可能性が高い

税理士業界は12月から翌年3月までが超繁忙期です。多くの事務所は既存顧問先の対応で手一杯で、「一見さん」のスポット依頼は断られる傾向にあります。回避策は、探し始める時期を早めることです。目安は個人なら11〜12月、法人なら決算月の2〜3ヶ月前。さらに2〜3社へ同時に並行打診すれば、1社に断られても他で受けてもらえる確率が上がります。期限ギリギリの依頼は特急料金として通常相場の1.5〜2倍を請求される可能性があります。決算1ヶ月前でも探す方法は繁忙期に税理士を即日で探す方法と決算月別の逆算表にまとめています。

3. 自社の経営状況に対する深いアドバイスがない

スポット契約では税理士は「数字の整合性」を確認し申告書を作る作業に徹します。「今の利益率だと資金繰りが危ないですよ」「来期はこうした方が良いですよ」といった経営改善に直結するアドバイスは期待できません。経営パートナーとしての機能を求めるならスポット契約は不向きです。

4. 自計ミスの蓄積が決算で吸収しきれないリスク

自分で会計ソフトに入力していると、勘定科目の選択ミスや仕訳の誤りが通期で蓄積します。「未払金」と「買掛金」の使い分けや、固定資産と消耗品費の判定を誤ったまま12ヶ月積み重なると、決算時の修正作業が膨大になります。結果として「格安で依頼するつもりが修正仕訳料で追加10万円超」というケースも珍しくありません。とくに棚卸資産の評価や減価償却は自動仕訳では完結できない領域で、クラウド会計の自動化だけに頼ると期末で大きな修正が必要になります。期中に一度税理士のチェックを入れる「四半期スポット相談」の併用も有効です。

5. 税務調査対応は契約外(別途5万〜30万円)

見落とされがちですが、スポット契約の費用には「税務調査が来たときの立会い対応」は含まれません。後日、税務署から調査の通知が届いた場合は改めて依頼料を支払う必要があります。立会い費用の相場は1日あたり5万〜10万円、修正申告まで含めると合計15万〜30万円程度です。顧問契約では年間顧問料に含まれるケースが多いため、この差は大きなポイントです。

6. 金融機関の融資審査で不利になりやすい

創業融資や事業性融資を申し込む場合、金融機関は直近の月次試算表の提出を求めるのが一般的です。スポット契約では月次決算を行わないため、いざ融資を申し込もうとしても直近の試算表が出せず、審査が遅れたり不利になったりする可能性があります。融資・補助金申請を視野に入れているなら、最低でも顧問契約か月次記帳指導付きプランを検討すべきです。資金繰り改善やリスケ交渉まで見据えるなら融資のリスケジュール交渉に伴走してくれる税理士の探し方も参考になります。

7. 経営判断に使えない数字になるリスク

決算時にしか数字を見ない運用では、期中の異常値(売上急減、原価率の悪化、特定取引先への過度な依存など)を検知できません。気づいたときには資金繰りが危機的になっていた、というケースは少なくありません。月次で数字を把握する重要性は、規模が大きくなるほど高まります。

申告ミス時の責任は誰が負う?税理士の損害賠償保険を確認

初めてスポット依頼する方の最大の不安は「税理士が申告を間違えたら誰が負担するのか」でしょう。結論として、税理士の過失による申告ミスは、税理士職業賠償責任保険(税賠保険)で加算税・延滞税が補償されるのが原則です。一方で免責条件もあるため、契約前に確認が必要です。

税理士職業賠償責任保険(日本税理士会連合会が関与する制度で、多くの税理士が加入)は、税理士の故意・重過失を除く過失で依頼者に損害を与えた場合に適用されます。たとえば税理士の確認漏れによる申告漏れで追徴40万円が発生したケースでは、税理士側がこれを負担する事例があります。ただし「依頼者から誤った情報を受け取ったことが原因」の場合は原則免責となり、依頼者側の資料提供の正確さも問われます。

依頼前に次の2点を確認しておくと安心です。①税理士が職業賠償責任保険に加入しているか、②契約書に「損害賠償の上限額=報酬額の◯倍」といった条項があるか。免責範囲と上限を把握しておけば、万一のトラブル時にも対応の見通しが立ちます。

決算のみ依頼が向いている会社・向いていない会社【判断マトリクス】

判断に迷ったら、以下のマトリクスで自分のポジションを確認してください。事業形態・売上規模・経理能力で推奨される契約形態が変わります。

事業形態 / 売上規模 自己記帳完了 一部記帳 丸投げ希望
個人 〜500万円 ◎ 決算のみ推奨 ○ 決算のみ可 △ 要検討
個人 500〜1,000万円 ◎ 決算のみ推奨 ○ 決算のみ可 △ 要検討
個人 1,000万円超(課税事業者) ○ 決算のみ可 △ 要検討 × 顧問契約推奨
法人 〜1,000万円 ○ 決算のみ可 △ 要検討 × 顧問契約推奨
法人 1,000〜3,000万円 △ 要検討 × 顧問契約推奨 × 顧問契約推奨
法人 3,000万円超 × 顧問契約推奨 × 顧問契約推奨 × 顧問契約推奨

「△ 要検討」のゾーンに該当する場合は、紹介サービスのコーディネーターに自社の状況を詳しく伝え、決算のみと顧問契約の両プランを比較してもらうのが安全です。

顧問契約のほうが得になるケース【費用・サービス・リスク比較】

「決算のみのほうが安いから」という理由だけで選ぶと、長期的にはかえって損をすることがあります。両者の違いを比較表で整理しておきましょう。

比較軸 決算のみ(スポット) 顧問契約
年間費用の目安(個人) 5万〜20万円 15万〜40万円
年間費用の目安(法人) 15万〜50万円 40万〜80万円
節税提案 ×(期末時点では手遅れ) ○(期中に随時提案)
月次試算表の作成 ×
税務調査の立会い 別途5万〜30万円 含まれる場合が多い
融資・補助金サポート ×
記帳サポート ×(基本は自己記帳) ○(指導あり)

顧問契約が有利になるのは、以下のいずれかに該当するケースです。

  • 創業1〜3年目で税務リスクが高い時期である
  • 融資・補助金・資金調達を検討している
  • 節税ニーズが高い(役員報酬・減価償却・各種特別控除の最適化余地が大きい)
  • インボイス制度・電子帳簿保存法への対応で迷っている
  • 取引先が多く記帳が複雑になっている

損益分岐点の目安として、顧問契約による節税効果が年間30万円を超えるなら、月額3万円程度の顧問料を払っても元が取れる計算になります。逆に節税余地が小さく単純な事業構造なら決算のみで十分です。なお、すでに顧問税理士がいて費用が割高に感じる場合は、顧問税理士の値上げ交渉術と乗り換え判断5基準も判断材料になります。免税事業者から課税事業者への切り替えで迷っている方は、課税事業者になるベストなタイミングを相談できる税理士の見つけ方もあわせて確認してください。

顧問料0円・低価格クラウド顧問という第三の選択肢

スポット契約と通常顧問契約(月2〜5万円)の二択以外に、近年は月額1万円以下のクラウド会計連携顧問プランが増えています。クラウド会計(freee・マネーフォワード)でのデータ共有を前提に、対面相談を最小化してコストを下げたプランです。最低限のサポートを受けながら「顧問実績」を作れるため、融資審査で有利になりやすい点がメリットです。

決算のみ・通常顧問・低価格クラウド顧問の3択比較
比較軸 決算のみ(スポット) 通常顧問契約 低価格クラウド顧問
年間費用の目安 15万〜50万円(決算時のみ) 40万〜80万円 15万〜30万円(月1万円以下+決算料)
含まれるサービス 決算・申告のみ 月次顧問+決算+相談 チャット相談+決算(対面は限定)
税務調査対応 別途5万〜30万円 含まれる場合が多い プランにより別途
融資書類(月次試算表) × ○(クラウド連携で出力可)
向いているケース 単純な事業・自己記帳完了 節税ニーズ大・複雑な取引 低コストで顧問実績を作りたい

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デメリットは、対面相談が原則不可で、複雑な節税対応は範囲外になりやすい点です。「将来の融資に向けて月次試算表は欲しいが、フル顧問料は負担」という事業者にはちょうど中間の選択肢になります。税理士ドットコムのコーディネーターに「クラウド会計連携の低価格顧問を探している」と伝えれば、該当プランを扱う税理士を絞り込んでもらえます。

依頼から申告完了までの5ステップと決算月別スケジュール

決算のみで依頼する場合、初回問い合わせから申告完了までの流れは次のとおりです。各ステップの所要日数も併せて確認しておきましょう。

  1. STEP1:初回問い合わせ・見積り取得(1〜3日)
    紹介サービスや事務所HPから問い合わせ。事業形態・売上規模・記帳状況・希望期日を伝え、見積りを受け取る。
  2. STEP2:資料送付(1〜2日)
    会計データ(freee・マネーフォワードのアクセス権付与またはCSV)、領収書・請求書、通帳のコピー、前年の申告書、固定資産台帳などを送付する。
  3. STEP3:税理士による確認・質疑応答(5〜10日)
    勘定科目の妥当性、消費税区分、減価償却、引当金などをチェック。不明点はメール・チャットで質疑応答。
  4. STEP4:申告書ドラフト確認・押印(2〜3日)
    完成した申告書のドラフトを確認し納税額を把握。問題なければ電子申告用の同意書に署名する。
  5. STEP5:電子申告・納税通知受領(1〜2日)
    税理士がe-Taxで電子申告。納税額を確認し期限内に納付する。

合計の所要期間は2週間〜3週間程度が目安です。記帳に大きな修正が必要な場合や繁忙期は、これより1週間ほど長くなることもあります。

法人の決算月別・申告期限と依頼開始の目安一覧

法人は3月決算以外にも多様な期末があり、申告期限は原則として決算月の2ヶ月後です。自社の決算月から逆算して依頼開始時期を決めておきましょう。下表は決算月ごとの申告期限と、税理士への依頼開始推奨時期の一覧です。

決算月 申告期限(原則) 依頼開始の推奨時期
1月決算 3月末 1月中旬まで
2月決算 4月末 2月中旬まで
3月決算 5月末 3月中旬まで(最繁忙・早めに)
4月決算 6月末 4月中旬まで
5月決算 7月末 5月中旬まで
6月決算 8月末 6月中旬まで
7月決算 9月末 7月中旬まで
8月決算 10月末 8月中旬まで
9月決算 11月末 9月中旬まで
10月決算 12月末 10月中旬まで
11月決算 翌年1月末 11月中旬まで
12月決算 翌年2月末 12月上旬まで(個人確定申告期と重なるため早めに)

個人事業主は申告期限が翌年3月15日で固定です。2月以降は税理士業界の超繁忙期に重なるため、遅くとも1月末まで(理想は12月中)に依頼を完了させましょう。3月決算法人と12月決算法人は、個人の確定申告期や法人申告の集中期と重なるため、特に早めの相談が安全です。

「決算のみ」でも受けてくれる良い税理士を探す方法

繁忙期に「決算のみ」を受けてくれる良心的な税理士を自力で探すのは骨が折れます。ホームページを持たない個人事務所は電話で一軒ずつ確認する必要があり、非常に非効率です。そこで活用したいのが税理士紹介サービスです。なお紹介サービス以外にも、地元の税理士会による無料紹介制度や、freee・マネーフォワードが提供する認定アドバイザー検索(クラウド会計連携に強い税理士のマッチング)といった探し方もあり、複数チャネルを併用すると候補の幅が広がります。

税理士ドットコムを活用するメリット

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マッチングサービスの税理士ドットコムは、時点で全国7,300名以上の税理士が登録し、累計紹介実績は43万件を超えています(出典:税理士ドットコム公表値)。最大の強みは、「決算のみ」や「確定申告のみ」といったスポット依頼に積極的な税理士を絞り込んで紹介してくれる点です。

  • 完全無料:紹介料は一切かかりません。何度紹介を受けても無料です。
  • スピード対応:急ぎの案件でも最短当日中に候補を紹介してくれます。
  • 交渉代行:費用の交渉や、面談後の断りの連絡もコーディネーターが代行してくれます。

「予算◯万円以内でやってくれる人を探している」といった具体的な要望を伝えられるため、相場から大きく外れた高い見積もりを出される心配もありません。複数の紹介サービスを併用したい方は、税理士紹介サービスを掛け持ちで利用する効率的な比較方法も参考になります。税理士選び全般の基準を体系的に押さえたい方は、失敗しない税理士の選び方と費用相場・探し方の総合ガイドもあわせて確認しておくと判断軸がブレません。

選定時のチェックリスト【中立的な見極め基準】

紹介を受けた候補者の中から「本当に依頼すべき税理士」を見極めるために、以下を確認してください。紹介サービス経由かどうかに関わらず使える中立的な基準です。

  • スポット依頼の実績件数・公開事例があるか(同業種・同規模の決算実績)
  • 料金体系が問い合わせ前にウェブサイトで明示されているか
  • 追加費用(消費税申告・修正仕訳・税務調査対応)の発生条件を契約前に書面で説明してくれるか
  • 繁忙期に断られた場合の代替紹介があるか
  • 期限直前(1〜2月)でも引き受け可能か
  • 使用可能な会計ソフトの制限有無(freee・マネーフォワード対応か)
  • 連絡手段と返信速度(チャット対応の可否、48時間以内に返信があるか)
  • e-Tax電子申告に対応しているか

初回面談で使える質問例

面談時には次のような具体的な質問を投げかけることで、税理士の対応姿勢と専門性を見極められます。

  • 「私と同じ業種・売上規模の決算を、年間どれくらい受けていますか?」
  • 「見積りに含まれる作業範囲と、別途料金になる項目を教えてください」
  • 「もし税務調査が入った場合、立会い費用はいくらですか?」
  • 「申告後に修正が必要になった場合の追加料金はいくらですか?」
  • 「職業賠償責任保険には加入していますか?」

これらにスムーズに答えられない税理士は、料金トラブルになりやすい傾向があります。問い合わせ前の準備として、会計ソフトへの入力完了・必要書類の整理・期限への余裕(個人なら1月末、法人なら決算月の翌月中旬まで)の3点を済ませておくと、安く・良い条件で引き受けてもらいやすくなります。

実際の利用ケーススタディ【3例】

相場感だけでは自分ごとに落とし込みにくいため、実際に決算のみで税理士に依頼した方のケースを3例紹介します。

ケース1:フリーランスデザイナー(個人・売上650万円)

  • 記帳状況:freeeで自己記帳完了、消費税は免税事業者
  • 依頼費用:7万円(電子申告料込み)
  • 所要期間:初回問い合わせから申告完了まで12日
  • 備考:1月上旬に依頼開始したことで繁忙期前にスムーズに完了。事業所得計算と青色申告特別控除65万円を確実に適用できた。

ケース2:法人(売上2,400万円・消費税課税事業者)

  • 記帳状況:マネーフォワードで自己記帳完了、インボイス登録済み
  • 依頼費用:28万円(基本20万円+消費税申告4万円+電子帳簿保存対応チェック2万円+電子申告料2万円)
  • 所要期間:決算月の翌月中旬に依頼開始、3週間で申告完了
  • 備考:期限の2週間前ギリギリの依頼だったが、既に記帳が整っていたため受託可能。修正仕訳が10件未満だったことも費用が膨らまなかった要因。

ケース3:法人(売上4,800万円・記帳代行込み)

  • 記帳状況:領収書をエクセルで管理していたのみ、ほぼ丸投げ
  • 依頼費用:52万円(基本35万円+消費税申告5万円+記帳代行12万円)
  • 所要期間:5週間
  • 備考:翌年から顧問契約に切り替え。「丸投げするなら顧問のほうが結果的に安かった」という典型例。

ケース3のように、記帳代行込みで依頼すると結果的に顧問契約と費用が変わらなくなります。自社の状況がケース3に近いなら、最初から顧問契約を選ぶのが合理的です。顧問税理士がいる方が別の税理士にスポットで相談したい場合は、別の税理士へスポット相談を依頼する上手な方法も参考になります。

筆者が決算のみ依頼で実感した「準備差」の効果

筆者(個人ブロガー・元経理担当)自身、フリーランスで活動していた時期に確定申告だけをスポットで税理士に依頼した経験があります。最初の年は領収書を袋ごと渡してしまい、記帳代行を含めて約14万円かかりました。翌年はマネーフォワードで自己記帳を完了させ、銀行照合まで済ませた状態で渡したところ、同じ事務所の見積りが7万円台へほぼ半額に下がりました。差を生んだのは「税理士が修正に費やす時間」で、自己記帳の精度を上げるだけで料金が大きく変わることを身をもって実感しました。

よくある質問

Q. 決算のみを断られた場合はどうすればいいですか?
A. 自力で1件ずつ電話するより、税理士紹介サービスに「スポット対応可」の条件で再度問い合わせるのが最短ルートです。コーディネーターが繁忙期でも引き受け可能な税理士を絞り込んでくれるため、3〜5日以内に候補が見つかるケースが多いです。11〜12月など早めに2〜3社へ並行打診すると成功率が上がります。
Q. 繁忙期(2〜3月)でも対応してもらえますか?
A. 可能性はありますが、特急料金として通常相場の1.5〜2倍を請求されることが多いです。また「丸投げは不可・自己記帳完了が条件」とされるケースが大半です。理想は1月末までに依頼を完了させ、法人なら決算月の2〜3ヶ月前から探し始めることです。
Q. 格安6万円台で依頼できる条件は何ですか?
A. ①年商1,000万円未満、②免税事業者、③自己記帳完了、④修正仕訳が少ない、⑤対応会計ソフト(freee・マネーフォワード等)使用、の5条件をすべて満たすことが目安です。1つでも外れると価格帯が一段上がります。
Q. 白色申告でもスポット依頼できますか?
A. できます。むしろ白色申告は青色申告より作成書類が少ないため、料金は5万円前後と安く抑えられる傾向があります。ただし節税効果は青色申告のほうが確かなに高いため、来期から青色申告に切り替えることも併せて相談するのがおすすめです。
Q. 消費税申告がある場合、追加費用はいくらかかりますか?
A. 3万〜5万円が相場です。インボイス制度対応で適格請求書の保存状況確認が必要なケースでは、さらに1万〜2万円が追加されることもあります。免税事業者であればこの加算は発生しません。
Q. 決算のみ依頼で税務調査が来たら税理士は動いてくれますか?
A. 基本的に契約外となり、別途依頼料が必要です。立会い費用の相場は1日5万〜10万円、修正申告まで含めて合計15万〜30万円程度を見ておきましょう。なお税理士の過失による申告ミスで生じた加算税・延滞税は、税理士の職業賠償責任保険で補償されるのが原則です(依頼者の誤情報提供が原因の場合は免責)。
Q. 顧問契約と決算のみ契約、どちらが結局安くなりますか?
A. 節税効果が年間30万円を超えるなら顧問契約が得、それ未満なら決算のみが得、というのが一つの目安です。融資申請や税務調査リスクなど金額に表れにくい要素も含めて総合判断してください。
Q. 格安6万円台の税理士に頼んで後悔するのはどんなケースですか?
A. 自己記帳の精度が低く、決算時に修正仕訳が大量に発生して追加料金で総額が膨らむケースが代表例です。また「申告書を作るだけ」で節税提案や経営アドバイスがなく、後から「もっと節税できたはず」と気づくパターンもあります。格安料金は自計が正確に完了している人向けと考えてください。
Q. クラウド会計(freee・マネーフォワード)を使えば費用は安くなりますか?
A. 安くなります。クラウド会計で記帳を完了させ、税理士にデータ連携で渡せば、記帳代行料(3万〜8万円)が不要になり最安帯の料金が適用されやすくなります。銀行照合や要確認仕訳をゼロにしておくことが、格安帯に入るための前提条件です。
Q. 地方と都市部で決算のみの費用は変わりますか?
A. 変わります。首都圏は地方より2〜3割ほど高い傾向があり、個人で東京8万〜18万円に対し地方は5万〜12万円が目安です。オンライン対応の事務所を選べば、地方相場の税理士に首都圏から依頼することも可能で、地域差を縮められます。

まとめ:決算のみ依頼はコストとリスクのバランスを見極めて

決算申告のみを税理士に依頼することは、年20万〜30万円の固定費削減という大きなメリットがある一方で、節税機会の損失や依頼先が見つかりにくいというリスクもあります。ご自身のビジネス規模がまだ小さく、日々の記帳が可能であれば、スポット契約は非常に合理的な選択です。逆に、融資検討中・取引が複雑・節税余地が大きい場合は、顧問契約のほうが結果的に得になります。

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重要なのは、「安くても、しっかり対応してくれる税理士」に出会えるかどうかです。知り合いの紹介がない場合、自分でインターネット検索だけで探すのは限界があります。現在の税理士費用が高いと感じていたり、初めての決算で誰に頼めばいいか分からなかったりする場合は、一度税理士ドットコムの無料相談を利用して、スポット対応可の税理士から複数の見積りを取り寄せてみてください。時点では、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応で見積りが変動しやすいため、相場と条件を押さえたうえで比較することが失敗しない選び方の第一歩です。

著者: こまろぐ運営 Yoshikazu Komatsu(個人ブロガー)/公開日: /最終更新: