海外に住む家族や友人にお金を送りたい。
あるいは、海外のフリーランサーに報酬を支払いたい。
そんな時、「どの海外送金サービスを使えばいいのだろう？」と悩んだ経験はありませんか。
数あるサービスの中でも、特に有名なのが「ウエスタンユニオン」と「WISE」です。
しかし、この2つのサービスは似ているようで、実は得意なことが全く違います。
この記事では、伝統的な現金受取に強いウエスタンユニオンと、革新的な銀行振込サービスであるWISEを徹底比較。
手数料、送金スピード、そして具体的な利用シーンを分析し、あなたがどちらのサービスを選ぶべきか、明確な基準を提示します。
この記事を読み終える頃には、あなたの海外送金に関する悩みはきっと解消されているはずです。
ウエスタンユニオンとWISE：サービスの基本概要を比較
まずは、両社のサービスがどのようなものか、基本的な特徴から見ていきましょう。それぞれの成り立ちや強みを知ることで、なぜこの2社が比較されるのかが理解できます。
ウエスタンユニオンとは？現金受取のグローバルリーダー
ウエスタンユニオンは、170年以上の歴史を持つ、海外送金サービスの老舗です。その最大の特徴は、世界200以上の国と地域に広がる、数十万カ所もの物理的な取扱店ネットワークにあります。
この広大なネットワークにより、受取人が銀行口座を持っていなくても、最寄りの取扱店で現金を受け取れるという、他の多くのサービスにはない強力なメリットを提供しています。例えば、まだ銀行口座の開設が一般的でない国や地域に住む家族への仕送りや、災害時などで緊急に現金が必要になった場合など、その価値は絶大です。
送金手続きは、オンライン、アプリ、または実店舗の窓口から可能です。送金人が手続きを完了すると発行される「送金管理番号（MTCN）」を受取人に伝え、受取人はその番号と身分証明書を持って窓口に行けば、最短数分で現金化できます。このスピード感と確実性が、長年にわたり世界中の人々に信頼されてきた理由です。
WISE（旧TransferWise）とは？透明性の高い銀行振込の革命児
一方、WISEは2011年にロンドンで設立されたフィンテック企業です。旧社名はTransferWiseで、その名の通り「賢い送金」をコンセプトに、従来の海外送金が抱えていた不透明な手数料構造に革命を起こしました。
WISEの最大の特徴は、「ミッドマーケットレート（実際の為替レート）」を採用している点です。従来の銀行や多くの送金サービスでは、公表されている為替レートに「為替手数料（スプレッド）」と呼ばれる独自のマージンを上乗せしていました。これが、利用者が気づきにくい「隠れ手数料」となり、送金コストを押し上げる一因でした。
WISEは、この隠れ手数料を徹底的に排除。送金時に発生する手数料はすべて事前に明示され、利用者は自分が支払う総コストを正確に把握できます。送金は主に銀行振込で行われ、オンラインやアプリで全ての手続きが完結します。安さと透明性、そして利便性の高さから、フリーランサーへの報酬支払いや留学費用の送金など、特にデジタルに慣れ親しんだ層から絶大な支持を得ています。
独自の視点：なぜこの2社が比較対象になるのか？
一見すると、物理的なネットワークを持つウエスタンユニオンと、デジタル完結型のWISEは全く異なるサービスに見えます。しかし、「個人間の海外送金」という大きな枠組みで見ると、両者は強力なライバルであり、同時にユーザーの異なるニーズに応える補完的な関係にもあります。
ウエスタンユニオンは、「いつでも、どこでも、誰にでも現金を届けられる」という物理的な安心感を提供します。これは、金融インフラが未整備な地域や、デジタルデバイド（情報格差）が存在する状況下で非常に重要です。
対照的にWISEは、「より安く、より透明に、よりスマートに」というデジタル時代の価値観を体現しています。銀行システムを活用し、テクノロジーの力で徹底的にコストを削減するアプローチは、グローバル化が進む現代のニーズに合致しています。
つまり、どちらが良い・悪いという単純な話ではなく、「誰が、誰に、どのような目的で送金するのか」によって、最適な選択肢が変わってくるのです。次のセクションでは、より具体的にコストやスピードの違いを深掘りしていきます。
【徹底比較】手数料・為替レート・送金スピードの違い
海外送金サービスを選ぶ上で最も重要な判断基準となるのが、「手数料」「為替レート」「送金スピード」の3つです。ここでは、2025年12月時点の情報として、両サービスを客観的な指標で比較分析します。
手数料体系の違い：どちらが本当に安いのか？
送金時に直接支払う手数料は、総コストを左右する重要な要素です。
- ウエスタンユニオンの手数料:
手数料は、送金先の国、送金額、そして「現金受取」か「銀行振込」かといった受取方法によって変動する、やや複雑な体系です。特に、利便性の高い現金受取サービスは、銀行振込に比べて手数料が高めに設定される傾向があります。また、コンビニなど提携先の窓口で手続きする場合、オンライン手続きとは異なる手数料が適用されることもあります。 - WISEの手数料:
WISEの手数料体系は非常にシンプルで、主に「固定手数料」と、送金額に応じて変動する「変動手数料（パーセンテージ）」の2つで構成されています。公式サイトやアプリのシミュレーション機能を使えば、送金手続きを行う前に、手数料を含めた最終的な受取額が1円単位で正確に表示されます。この透明性の高さが、利用者にとって大きな安心材料となっています。
＜具体例：日本からアメリカへ10万円送金する場合＞
例えば、1ドル150円の時に10万円を送金するケースを考えてみましょう。WISEの場合、シミュレーターですぐに手数料が約800円前後と表示されます。一方、ウエスタンユニオンは受取方法やタイミングで変動しますが、現金受取の場合は数千円の手数料がかかることも珍しくありません。コストを最優先するなら、WISEに軍配が上がることが多いでしょう。
為替レートの「隠れコスト」を見抜け！
手数料以上に総コストに影響を与えるのが、実は「為替レート」です。
- ウエスタンユニオンの為替レート:
ウエスタンユニオンは、独自の為替レートを設定しています。これは、Googleなどで検索して表示される実際の市場レート（ミッドマーケットレート）に、サービス提供のためのマージン（スプレッド）を上乗せしたものです。例えば、市場レートが1ドル150円の時に、ウエスタンユニオンのレートが1ドル153円に設定されている場合、その差額の3円が実質的な手数料、つまり「隠れコスト」となります。送金額が大きくなるほど、この隠れコストの影響は無視できなくなります。 - WISEの為替レート:
前述の通り、WISEは一切マージンを上乗せしないミッドマーケットレートをそのまま適用します。これは、海外送金サービスにおいて画期的なことであり、WISEが「透明性」を最も重視している証拠です。利用者は、為替レートの変動による市場リスク以外の不利益を被ることがありません。
送金スピード：いつお金が届くのか？
送金にかかる時間も、利用者にとっては重要なポイントです。
- ウエスタンユニオン:
現金受取の場合、そのスピードは圧巻です。送金人が手続きを完了し、受取人がMTCN番号を受け取れば、最短数分で現金化が可能です。この即時性は、緊急時の送金において絶大な強みとなります。ただし、これはあくまで取扱店の営業時間内での話であり、深夜や休日には利用できない点に注意が必要です。 - WISE:
WISEの送金スピードは、送金先の国や通貨によって異なりますが、近年大幅に向上しています。多くの主要通貨（米ドル、ユーロ、英ポンドなど）では、数時間から1営業日以内に相手の銀行口座に着金します。一部の通貨では数日かかることもありますが、手続き時に着金予定日時が正確に表示されるため、計画的に送金することができます。
利用シーン別！最適なサービスの選び方【実践ガイド】
ここまでの比較を踏まえ、具体的にどのような状況でどちらのサービスを選ぶべきか、実践的なガイドをご紹介します。
ウエスタンユニオンが最適なケース
以下のような状況では、ウエスタンユニオンの利便性が際立ちます。
- 受取人が銀行口座を持っていない場合:
これがウエスタンユニオンを選ぶ最大の理由です。地方の村に住む高齢の家族や、銀行口座を開設できない状況にある人へ送金する唯一の手段となることもあります。 - 緊急で現金が必要な場合:
旅行先で財布を盗まれて無一文になってしまった、海外で災害に遭い手持ちの現金が尽きてしまった、といった緊急事態では、数分で現金が手に入るウエスタンユニオンのサービスが命綱になります。 - インターネット環境が不安定な地域への送金:
受取人側が安定したインターネットにアクセスできなくても、物理的な取扱店さえあれば現金を受け取れるため、インフラが整っていない地域への送金にも適しています。
＜具体例＞
フィリピンの地方都市に住む両親に毎月生活費を送っているAさん。両親はスマートフォンやPCの操作に不慣れで銀行口座も持っていないため、Aさんは毎月ウエスタンユニオンを使い、両親が近所の提携店で現金を受け取れるようにしています。
WISEが最適なケース
コスト効率とスマートさを求めるなら、WISEが最適な選択となるでしょう。
- とにかく送金コストを抑えたい場合:
透明な手数料と有利な為替レートにより、WISEは多くの場合、総コストで最も安価な選択肢となります。特に10万円以上のまとまった金額を送る際には、その差が顕著に現れます。 - 受取人が銀行口座を持っている場合:
受取人が銀行口座さえ持っていれば、WISEを使わない手はありません。相手の口座情報を入力するだけで、迅速かつ安全に送金が完了します。 - ビジネスでの支払いや高額な送金:
海外のフリーランサーへの業務委託費の支払いや、子供の留学費・学費の送金など、正確性とコストが重視されるシーンでWISEは非常に信頼性が高いです。 - 定期的に海外送金を行う場合:
一度送金先を登録すれば、2回目以降は数クリックで手続きが完了します。定期的な送金の手間を大幅に削減できるのも魅力です。
＜具体例＞
日本の企業で働きながら、副業で海外のクライアントからデザインの仕事を受けているBさん。報酬の受け取りにはWISEを利用しています。クライアントは自国の通貨でWISEの口座に振り込むだけでよく、Bさんは有利なレートで日本円に両替して受け取れるため、手取り額を最大化できています。
独自の視点：将来性を見据えた賢い選択
金融のデジタル化は、今後さらに加速していくでしょう。そのような未来を見据えた時、長期的な視点でどちらのサービスに慣れておくべきでしょうか。
もちろん、ウエスタンユニオンの物理ネットワークが持つ価値がすぐになくなることはありません。しかし、世界的に銀行口座の保有率が上昇し、スマートフォンが普及する中で、WISEのようなデジタル完結型サービスの利便性はますます高まっていきます。
もしあなたが今後、継続的に海外との金銭のやり取りを行う可能性があるなら、今のうちからWISEの利用に慣れておくことは非常に賢明な投資と言えるでしょう。幸いにも、WISEの口座開設は無料で、すべてオンラインで完結します。維持費もかからないため、とりあえず口座を作っておくだけでも損はありません。
「でも、海外のサービスって登録が難しそう…」と感じる方もいるかもしれません。そんな方のために、登録から送金までの全手順を日本語で丁寧に解説したガイドをご用意しました。ぜひ参考にしてみてください。
【完全ガイド】WISE個人口座の登録から初めての海外送金まで徹底解説！手数料を抑えるコツも紹介
まとめ：あなたのニーズに最適なサービスを選ぼう
この記事では、ウエスタンユニオンとWISEという2大海外送金サービスを比較しました。最後に、選択のためのポイントを改めてまとめます。
- ウエスタンユニオン: 「現金受取」が必要な場合に最強の選択肢。スピードと物理ネットワークの広さが魅力だが、コストは割高になる傾向。
- WISE: 「銀行振込」でコストを徹底的に抑えたい場合に最適。透明性の高い手数料と有利な為替レートが最大の武器。
結論として、どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、あなたの送金目的や受取人の状況に応じて賢く使い分けることが最も重要です。
もし、あなたの送金相手が銀行口座を持っており、少しでもコストを節約したいと考えているのであれば、まずはWISEを試してみることを強くお勧めします。これまで銀行送金で支払っていた高額な手数料が、WISEを使うことで劇的に安くなる可能性を秘めています。
百聞は一見に如かず。まずは公式サイトで、あなたが送りたい金額で手数料がいくらになるか、一度シミュレーションしてみてはいかがでしょうか。その安さと透明性に、きっと驚くはずです。