「Webフォームからの問い合わせを、毎日手作業でスプレッドシートにコピペしている…」
「複数のサービスからデータを集めてレポートを作るのが大変…」
多くのビジネスパーソンにとって、Google Sheetsは日々のデータ管理に欠かせないツールです。
しかし、そのデータ入力や更新が手作業のままだと、多大な時間と労力がかかり、入力ミスの原因にもなります。
もし、これらのデータ管理業務を完全に自動化できるとしたら、どうでしょうか?
それを可能にするのが、業務自動化ツール「n8n」です。n8nとGoogle Sheetsを連携させることで、面倒なコピペ作業から解放され、常に最新のデータをシートに集約できます。
この記事では、n8nとGoogle Sheetsを連携させる具体的な設定方法を、初心者の方でも迷わないように、画像付き(の想定)でステップバイステップで詳しく解説します。
n8nというツール自体の全体像や基本機能について先に知りたい方は、当サイトの「n8n完全ガイド記事」も併せてご覧いただくと、より理解が深まります。
はじめに:n8nとGoogle Sheets連携でできること
この2つを連携させると、あなたのデータ管理は劇的に変わります。例えば、以下のような自動化が可能です。
- 行の自動追記 (Append Row): Webサイトのフォームからの問い合わせ、ECサイトの新規注文、SNSでの特定キーワードの投稿などを、リアルタイムでGoogle Sheetsに新しい行として追加する。
- 行の自動更新 (Update Row): CRMの顧客情報が更新されたら、それと連動してGoogle Sheets上の顧客リストも自動で更新する。
- データの読み取り (Get Data): Google Sheetsを簡易的なデータベースとして使い、リストにある顧客全員にメールマガジンを送信したり、タスクリストを読み込んでプロジェクト管理ツールにタスクを生成したりする。
- 自動レポート作成: 毎日、複数の広告プラットフォームや解析ツールからデータを取得し、整形して一つのサマリーシートにまとめる。
今回は、この中でも特にニーズの高い「WebフォームからのデータをGoogle Sheetsに自動追記する」方法を具体的に見ていきましょう。
準備するもの
チュートリアルを始める前に、以下のものをご準備ください。
- n8nのアカウント: クラウド版またはセルフホスト版。まだの方は、すぐに始められるクラウド版の無料トライアルが便利です。
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- 連携先のGoogle Sheet: 今回の例では、「日時」「名前」「メールアドレス」「問い合わせ内容」といった列をあらかじめ作成しておきます。
準備が整ったら、早速設定に進みましょう。
【ステップ1】n8nでGoogle Sheetsの認証情報(Credentials)を設定する
最初に、n8nがあなたのGoogle Sheetsに安全にアクセスできるよう、認証設定を行います。
- n8nのダッシュボード左側メニューから「Credentials」をクリックします。
- 右上の「Add credential」ボタンを押し、検索窓で「Google Sheets」と入力して選択します。
- 「Credential Name」に分かりやすい名前(例: My Google Account)を入力し、「Sign in with Google」ボタンをクリックします。
- Googleの認証画面が表示されるので、使用するアカウントを選択し、n8nからのアクセスを許可します。
- n8nの画面に戻り、「Credential saved.」と表示されれば成功です。「Save」ボタンで保存してください。
【ステップ2】ワークフロー作成:フォームのデータをスプレッドシートに自動追記する
認証が完了したら、いよいよワークフローを作成します。今回は、Webフォームなどからデータを受け取る「Webhook」をトリガーにします。
1. トリガーノードの設定 (Webhook)
私の視点:
Webhookは「データの受け取り専用URL」と考えると分かりやすいです。このURLにデータが送信されると、ワークフローが自動的にスタートします。多くのWebフォームサービスや他の自動化ツールは、このWebhookに対応しています。
- 新しいワークフローを作成し、最初の「Start」ノードをクリックします。検索窓で「Webhook」と入力して選択します。
- Webhookノードの設定画面が表示され、「Test URL」が生成されます。これがテスト用のデータ受け取りURLです。
- 次に、このURLにテストデータを送るため、画面右下の「Listen for test event」ボタンをクリックします。n8nがデータ待機状態になります。
- ブラウザの新しいタブを開き、コピーしたテストURLの末尾に、
?name=テスト太郎&email=test@example.com&inquiry=テスト問い合わせです
のように、シートの列名に対応するパラメータを付けてアクセスします。(実際のWebフォームからは、この形式でデータが送信されます) - n8nの画面に戻り、データが正常に受信されると、緑色のチェックマークと共にデータ内容が表示されます。
2. Google Sheetsノードの設定
次に、Webhookで受け取ったデータをGoogle Sheetsに書き込むアクションを設定します。
- Webhookノードの右側の「+」ボタンをクリックし、「Google Sheets」ノードを追加します。
- 「Credential for Google Sheets API」で、ステップ1で作成した認証情報を選択します。
- 「Resource」を「Row」、「Operation」を「Append」(追記)に設定します。
- 「Sheet ID」の欄で、連携したいスプレッドシートと、その中のシート名を選択します。
- 「Columns」セクションで、「Add Column」を押し、シートの列名(例: 名前, メールアドレス, 問い合わせ内容)を追加していきます。
- 各列の値(Value)の入力欄で、右側の四角いアイコンをクリックし、「Nodes」→「Webhook」→「Output Data」→「JSON」→「query」と展開し、対応するデータをドラッグ&ドロップ(またはクリック)で設定します。
・「名前」列の値 →{{$json["query"]["name"]}}
・「メールアドレス」列の値 →{{$json["query"]["email"]}}
私の視点:
この{{ ... }}
というデータマッピング(Expression)こそが、n8nの強力な機能です。これにより、前のノードで受け取ったデータを、後のノードで自由に利用できます。この操作に慣れることが、n8nを使いこなす鍵となります。
3. ワークフローのテスト実行と有効化
- Google Sheetsノードを選択した状態で、「Execute node」ボタンをクリックしてテスト実行します。
- 実際にあなたのGoogle Sheetを開いてみましょう。新しい行にテストデータが追記されていれば成功です!
- 画面右上でワークフローを保存し、忘れずにトグルスイッチを「Active」に切り替えましょう。
重要:有効化すると、「Production URL」が生成されます。実際のWebフォームなどには、このProduction URLを設定してください。
応用編:スプレッドシートのデータを読み取り、別の処理に使う
n8nのすごいところは、データを書き込むだけでなく、読み取って活用できる点です。
例えば、「タスクリスト」というシートから「未完了」のタスクを全て読み取り、それぞれのタスク内容を元に、担当者にSlackでリマインダーを送る、といったワークフローも可能です。
この場合、以下のような流れになります。
- Scheduleノード: 毎日決まった時間に実行。
- Google Sheetsノード (Operation: Get Many): タスクリストシートからデータを取得。
- IFノード: ステータスが「未完了」のデータだけを後続の処理に流す。
- Slackノード: 担当者とタスク内容を本文に入れてメンション付きで通知する。
このように、Google Sheetsを簡易的なデータベースとして活用することで、自動化の可能性はさらに広がります。
n8nでのデータ管理をさらに深く知るには
今回はGoogle Sheets連携の基本をご紹介しましたが、n8nはデータベースや他の多くのSaaSとも連携し、より高度なデータ処理が可能です。n8nの全体像や、データ変換(マージ、分割、集計)などのテクニックを学びたい方は、ぜひ以下の「n8n完全ガイド記事」をご覧ください。
>> 【完全ガイド】n8nとは?話題の業務自動化ツールを徹底解説!導入メリットと始め方
まとめ:面倒なデータ入力を卒業し、本来の業務に集中しよう
n8nとGoogle Sheetsの連携がいかに簡単で、そして強力であるかお分かりいただけたでしょうか。これまであなたが手作業で行っていたデータ入力や転記作業は、今日からn8nに任せることができます。
これにより生まれた時間を、あなたはもっと分析や企画といった創造的な業務に使うことができるはずです。あなたの周りにある「あの作業、自動化できないかな?」と思うものから、ぜひn8nで効率化を始めてみてください。
まずは無料トライアルで、その第一歩を踏み出してみましょう!