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VPNをオンにした途端、自宅のプリンターが見えなくなった。
NASに保存した写真にアクセスできない。
Chromecastへのキャストが突然止まった。
こうした経験をお持ちの方は、決して少なくありません。
VPNはインターネット通信を暗号化トンネルで保護する優れた技術ですが、その仕組み上、同じWi-Fiに接続しているローカルデバイスとの通信まで遮断してしまうケースがあります。
特にテレワークが定着した現在、「セキュリティは確保したいけど、家のプリンターで資料を印刷したい」という要望は日常的なものです。
なぜVPN接続中にローカルデバイスが使えなくなるのか
VPNトンネルがすべての通信を包み込む仕組み
VPNの基本的な動作原理を理解すると、この問題の本質が見えてきます。ExpressVPNをはじめとするVPNアプリは、デバイスから外部に出るすべてのネットワーク通信を暗号化されたトンネル経由で送信します。これは「フルトンネル」と呼ばれる方式で、インターネットへの通信だけでなく、本来ルーターを介して同一ネットワーク内で完結するはずのローカル通信まで、VPNサーバーを経由させてしまうことがあります。
例えば、自宅のPCからリビングのプリンター(IPアドレス:192.168.1.10など)に印刷データを送る場合、通常はルーター内で直接やり取りが完結します。しかしVPN接続中は、この通信も一度VPNサーバーに送られてから戻ってくるか、あるいはVPNのネットワーク設定によって経路が見つからず通信自体が成立しなくなります。
具体的に困る場面を整理する
この問題が実際に影響するケースは多岐にわたります。以下は筆者自身や周囲のユーザーから聞いた代表的な事例です。
- Wi-Fi対応プリンターへの印刷ができない(PCからもスマホからも)
- NAS(ネットワーク接続ストレージ)のファイルにアクセスできない
- Chromecast、Apple TV、Fire TV Stickへのキャスト・ミラーリングが失敗する
- Windows同士のファイル共有(SMBプロトコル)が使えなくなる
- ネットワーク対応スピーカーやスマートホーム機器の操作ができない
- ローカルで動かしている開発サーバーに他のデバイスからアクセスできない
テレワーク中に「VPNを切って印刷し、また接続し直す」という作業を一日に何度も繰り返しているなら、それは設定の見直しで解消できる非効率です。VPNの接続・切断を繰り返す間は通信が保護されない時間が生まれるため、セキュリティ面でもリスクがあります。
ExpressVPNではこの問題にどう対応しているか
ExpressVPNは、この課題に対して主に2つのアプローチを用意しています。1つ目は「スプリットトンネリング」機能、2つ目はアプリ内の「ローカルネットワークデバイスへのアクセスを許可」するオプションです。どちらもExpressVPNアプリの設定画面から数クリックで有効にできます。次のセクションで、OSごとの具体的な手順を解説していきます。
なお、ExpressVPNの基本的な導入方法や料金プランについては「【2026年最新版】ExpressVPNとは?使い方・料金・評判を徹底解説!始め方ガイド」で詳しくまとめていますので、まだ導入前の方はそちらも参考にしてください。
ExpressVPNでローカルネットワーク通信を維持する設定手順
方法1:スプリットトンネリングを活用する
スプリットトンネリングとは、VPNトンネルを通す通信と、通さない通信を選択的に分ける機能です。ExpressVPNでは、この機能をアプリ単位で細かく制御できます。
設定の考え方はシンプルです。インターネットブラウジングなどセキュリティが必要な通信はVPN経由にし、プリンタードライバーやNAS管理ソフトなどローカル通信のみを行うアプリはVPNの対象外にします。
〈Windows / Macでの設定手順〉
- ExpressVPNアプリを開き、左上のメニュー(ハンバーガーアイコン)をクリック
- 「設定」(Settings)を選択
- 「一般」(General)タブを開く
- 「スプリットトンネリング」のセクションで「接続ごとにVPNを使用するアプリを管理する」にチェックを入れる
- 「設定」ボタンをクリックすると、3つのオプションが表示される
選択できる3つのモードは以下のとおりです。
- すべてのアプリでVPNを使用する(デフォルト)
- 選択したアプリではVPNを使用しない:指定したアプリだけVPNの外に出す
- 選択したアプリのみVPNを使用する:指定したアプリだけVPN経由にし、他はすべて直接接続
プリンター利用の場合は、2番目の「選択したアプリではVPNを使用しない」を選び、プリンター関連のアプリケーション(例:Canon IJ Printer、Epson Printer Utility、HP Smartなど)を追加するのが手軽です。
〈注意点〉
スプリットトンネリングの設定変更は、VPNを一度切断してから行う必要があります。設定完了後に再接続してください。また、macOS版では一部のバージョンでスプリットトンネリングが利用できない場合があります。その際は次に紹介する方法2を試してください。
方法2:ローカルネットワークデバイスへのアクセス許可を有効にする
スプリットトンネリングよりもさらに簡単な方法として、ExpressVPNには「ローカルネットワーク上のデバイスへのアクセスを許可する」専用オプションがあります。
〈設定手順〉
- ExpressVPNアプリを開き、「設定」に進む
- 「一般」タブ内にある「スプリットトンネリング」セクションを探す
- 「VPN接続中にローカルネットワークデバイス(プリンターやファイルサーバーなど)へのアクセスを許可する」というオプションをオンにする
- VPNに再接続する
この設定を有効にすると、192.168.x.x や 10.0.x.x といったプライベートIPアドレス範囲への通信がVPNトンネルの外側で処理されるようになります。つまり、ローカルネットワーク内のプリンター、NAS、メディアサーバー、スマートデバイスなどへの通信は通常どおり行われ、インターネットへの通信だけがVPN経由で暗号化されます。
筆者の環境では、この方法が最も手軽で安定しています。個別のアプリを指定する必要がなく、プリンターを買い替えたりNASを追加したりしても設定を変更する手間がありません。
方法3:スマートフォン(iOS / Android)での設定
スマートフォンからWi-Fiプリンターに印刷する場面も増えています。iOS版・Android版のExpressVPNでも同様の設定が可能です。
Android版では、スプリットトンネリングが「設定」→「VPN設定」→「スプリットトンネリング」から利用できます。アプリ単位でVPNの対象外に設定できるため、プリンターアプリやスマートホームアプリを除外しましょう。
iOS版では、OSの制約によりアプリ単位のスプリットトンネリングは提供されていません(2026年5月時点)。代わりに、ExpressVPNアプリの設定から「ローカルネットワークへのアクセスを許可」をオンにすることで対応できます。また、iOS側の「設定」→「ExpressVPN」→「ローカルネットワーク」のトグルも有効になっていることを確認してください。
設定後に確認すべきこと
設定変更後、以下の点を確認しておくと安心です。
- VPN接続状態でプリンターのテスト印刷を実行し、正常に出力されるか確認する
- NASやファイル共有にアクセスできるか確認する
- ExpressVPNの「IPアドレスチェッカー」でインターネット側の通信がVPN経由になっているか確認する(VPNサーバーのIPアドレスが表示されればOK)
- DNS漏れテストを実行し、VPN保護が正しく機能しているか確認する
3番目と4番目の確認は特に重要です。ローカル通信を許可したことで、インターネット側の保護まで外れてしまっていないかを検証するステップになります。
よくある失敗とトラブルシューティング
設定を変更しても問題が解消しない場合、以下のポイントを確認してください。
- プリンターとPCが同じサブネットにあるか(例:両方とも192.168.1.x の範囲内か)
- ルーターのAP隔離(アクセスポイントアイソレーション)機能が有効になっていないか。これが有効だとVPNとは無関係にローカル機器間の通信がブロックされる
- ファイアウォールソフトがローカル通信をブロックしていないか
- ExpressVPNアプリが最新版にアップデートされているか
- 一度VPNを完全に切断し、ローカル通信が復旧するか確認する。復旧しなければVPN以外に原因がある
筆者自身、以前スプリットトンネリングを正しく設定したはずなのにプリンターが認識されず悩んだことがあります。原因はルーター側のAP隔離機能でした。5GHz帯と2.4GHz帯で別々のネットワークが構成されており、PCとプリンターが異なる帯域に接続されていたのです。VPNの設定だけでなく、ネットワーク環境全体を見渡す視点が大切です。
他のVPNサービスとの比較、そしてExpressVPNを選ぶ理由
主要VPNサービスのローカルネットワーク対応状況
ローカルネットワークへのアクセス許可やスプリットトンネリングは、すべてのVPNサービスが提供しているわけではありません。2026年5月時点での主要サービスの対応状況を整理します。
- ExpressVPN:スプリットトンネリング(Windows / Mac / Android)対応、ローカルネットワークアクセス許可オプションあり。設定UIが直感的でわかりやすい
- NordVPN:スプリットトンネリング対応(Windows / Android)。Mac版は非対応の場合がある
- Surfshark:「Bypasser」機能でスプリットトンネリングに対応。ただしローカルアクセス専用のトグルは提供されていない
- ProtonVPN:スプリットトンネリング対応だが、無料プランでは一部制限あり
ExpressVPNの優位性
ExpressVPNがこの用途で特に使いやすい理由は、「ローカルネットワークデバイスへのアクセス許可」という専用オプションが用意されている点にあります。他のサービスではスプリットトンネリングで個別アプリを指定する必要がある場面でも、ExpressVPNならワンクリックで解決できるケースが多いです。
また、ExpressVPNの独自プロトコル「Lightway」は接続速度とセキュリティのバランスに優れており、スプリットトンネリング使用時でもVPN側の通信速度低下が少ないと感じます。テレワーク中にビデオ会議をしながらVPN経由でブラウジングし、同時にローカルプリンターで印刷するといった複合的な使い方でも、体感速度に大きな不満はありません。
一方で、ExpressVPNは他のサービスと比較して月額料金がやや高めに設定されています。ただし、ローカルネットワーク対応のしやすさと安定性を考慮すると、在宅勤務環境での利便性に十分見合う投資だと感じています。料金やプランの詳細は「ExpressVPNの始め方ガイド」で最新情報を確認できます。
どんな人にこの設定が特に有効か
- 自宅でテレワークをしており、VPN接続とプリンター利用を頻繁に切り替えている方
- NASに写真やドキュメントを保存し、VPN接続中もアクセスしたい方
- Chromecastやスマートスピーカーなど、ローカルネットワーク前提のデバイスを日常的に使っている方
- 家族がそれぞれ別のデバイスでVPN接続しつつ、共有プリンターを使いたい家庭
まとめ:VPNの保護とローカルの利便性は両立できる
ExpressVPNの「ローカルネットワークデバイスへのアクセス許可」設定やスプリットトンネリング機能を活用すれば、VPN接続によるセキュリティを維持しながら、プリンター、NAS、スマートデバイスなどローカルネットワーク上の機器をストレスなく利用できます。
まず試すべきは、設定画面の「ローカルネットワークへのアクセスを許可」オプションの有効化です。これだけで大半のケースは解決します。それでもうまくいかない場合は、スプリットトンネリングでアプリ単位の制御を検討してください。そして設定変更後は、IPアドレスチェッカーやDNS漏れテストでVPN保護が維持されていることを必ず確認しましょう。
ExpressVPNをまだ導入していない方は、「【2026年最新版】ExpressVPNとは?使い方・料金・評判を徹底解説!始め方ガイド」を参考に、30日間の返金保証を活用して実際の自宅環境で試してみることをおすすめします。ローカルネットワークとの相性は環境によって異なるため、自分の環境で問題なく動作するかを確認してから本格利用するのが確実です。
