VPNを使ってインターネットの安全性を高めたい。
でも、すべての通信をVPN経由にすると、逆に不便に感じることがありませんか。
例えば、「海外のサーバーに接続しながら、日本の銀行アプリもスムーズに使いたい」「オンラインゲームは低遅延の通常回線でプレイしたいけど、他の通信は暗号化したい」といった状況です。
実は、ExpressVPNの「除外設定(スプリットトンネリング)」機能を使えば、こうした悩みを一瞬で解決できます。
この機能を使えば、VPNに接続するアプリとしないアプリを自由に選択できるため、セキュリティと利便性を完璧に両立させることが可能です。
この記事では、2025年11月時点の最新情報に基づき、ExpressVPNの除外設定の基本から、具体的な設定手順、そしてあなたのデジタルライフを劇的に快適にする実践的な活用術まで、どこよりも分かりやすく解説します。
ExpressVPNの除外設定(スプリットトンネリング)とは?
ExpressVPNを使いこなす上で欠かせないのが「除外設定」、一般的には「スプリットトンネリング」と呼ばれる機能です。このセクションでは、スプリットトンネリングがどのような技術で、なぜ必要なのか、そしてExpressVPNではどのように実装されているのかを掘り下げて解説します。
スプリットトンネリングの基本的な仕組み
スプリットトンネリングとは、直訳すると「分割されたトンネル」。その名の通り、インターネット通信を2つの経路に分割する技術です。
- 経路1:暗号化されたVPNトンネル
ExpressVPNのサーバーを経由する通信です。IPアドレスが匿名化され、通信内容が暗号化されるため、プライバシーとセキュリティが最大限に保護されます。海外のコンテンツにアクセスしたい場合や、公共のWi-Fiを安全に使いたい場合に利用します。 - 経路2:通常のインターネット回線
VPNサーバーを経由せず、ご契約のインターネットサービスプロバイダ(ISP)を直接利用する通信です。通信速度が速く、遅延が少ないのが特徴。また、日本国内のIPアドレスがそのまま使われるため、国内限定のサービスも問題なく利用できます。
この2つの経路を、アプリ単位で使い分けることができるのがスプリitトンネリングの最大のメリットです。すべての通信をVPN経由にすると、通信速度が若干低下したり、国内サービス(ネットバンキングなど)がIPアドレスを理由にアクセスをブロックしたりすることがあります。スプリットトンネリングは、そうしたVPNのデメリットを解消し、「良いとこ取り」を実現するための非常に高度で便利な機能なのです。
ExpressVPNにおける除外設定の2つのモード
ExpressVPNの除外設定には、ユーザーのニーズに合わせて選べる2つのシンプルなモードが用意されています。設定画面でどちらかを選択するだけで、簡単に通信経路をコントロールできます。
1. 選択したアプリのみVPNを使用しない
これは「原則すべての通信をVPN経由にするが、指定したアプリだけは例外的に通常回線を使う」というモードです。セキュリティを重視する方におすすめです。
例えば、ブラウザやSNSアプリなど、ほとんどの通信はVPNで保護しつつ、以下のようなアプリを除外リストに追加します。
- ネットバンキングアプリ(海外IPだと弾かれるため)
- 国内限定の動画配信サービスアプリ
–
- オンラインゲーム(ラグを避けるため)
- ローカルネットワーク上のプリンターを操作するアプリ
2. 選択したアプリのみVPNを使用する
こちらは「原則すべての通信を通常回線で使うが、指定したアプリだけVPN経由にする」というモードです。VPNを特定の目的でのみ利用したい方に向いています。
例えば、普段使いのアプリは最速の通常回線を利用し、以下のようなアプリだけをVPNリストに追加します。
- 海外の動画配信サービスを視聴するためのブラウザ
- Torrentクライアント(P2P通信を匿名化するため)
- 特定の国の情報にアクセスする必要があるリサーチ用アプリ
どちらのモードが最適かは、あなたのVPN利用スタイルによって異なります。まずはご自身の使い方を振り返り、より管理が楽な方を選ぶと良いでしょう。
【図解】ExpressVPNでアプリを除外設定する具体的な手順
理論がわかったところで、早速ExpressVPNで除外設定をしてみましょう。ここでは、Windows、Mac、Androidの各デバイスでの設定手順を、画像付きのイメージで分かりやすく解説します。手順は非常にシンプルで、数分もあれば完了します。
注意:2025年11月現在、iOS(iPhone/iPad)版のExpressVPNアプリは、OSの仕様上の制約によりスプリットトンネリング機能に対応していません。今後のアップデートに期待しましょう。
Windows / Macでの設定手順
デスクトップ版アプリでの設定は、WindowsもMacもほぼ共通です。ここではWindowsの画面を例に説明します。
- ExpressVPNアプリを開き、メニューをクリック
アプリを起動し、左上にあるハンバーガーメニュー(三本線のアイコン)をクリックします。 - 「設定」または「Options」を選択
表示されたメニューから「設定」(または英語表示の場合は「Options」)を選びます。 - 「スプリットトンネリング」タブを開く
設定ウィンドウが開いたら、上部にあるタブの中から「スプリットトンネリング」をクリックします。 - 機能を有効にし、モードを選択
「スプリットトンネリングの管理」というチェックボックスにチェックを入れます。すると、前述した2つのモード(「選択したアプリのみVPNを使用しない」または「選択したアプリのみVPNを使用する」)が選択できるようになります。ご自身の使い方に合った方を選んでください。 - アプリを追加する
モードを選択すると、「+」ボタンや「アプリを追加」といったボタンが表示されます。これをクリックし、VPNの対象(または対象外)にしたいアプリを選択して追加します。インストール済みのアプリ一覧が表示されるので、そこから選ぶだけです。 - 「OK」をクリックして完了
アプリの選択が終わったら、「OK」ボタンをクリックして設定ウィンドウを閉じます。これで設定は完了です。次回以降、VPN接続時に設定が自動で適用されます。
Androidでの設定手順
Android版アプリでも、ほぼ同様の手順で簡単に設定できます。
- ExpressVPNアプリを開き、「オプション」をタップ
アプリを起動し、画面下部にある「オプション」をタップします。 - 「設定」をタップ
次の画面で「設定」をタップします。 - 「スプリットトンネリング」をタップ
ネットワーク設定の項目にある「スプリットトンネリング」をタップします。 - モードを選択し、アプリを追加
デスクトップ版と同様に、「すべてのアプリでVPNを使用する」「選択したアプリのみVPNを許可する」「選択したアプリではVPNを許可しない」といった選択肢が表示されます。モードを選び、対象となるアプリを一覧からタップしてチェックを入れていくだけです。
設定がうまくいかない場合は、一度アプリを再起動したり、デバイスを再起動したりすると解決することがあります。また、設定を変更するには管理者権限が必要になる場合がある点も覚えておきましょう。
ExpressVPNの除外設定で快適になる!実践的な活用術5選
除外設定は、単に「VPNをオフにする」だけの機能ではありません。組み合わせ次第で、あなたのインターネット利用をより安全かつ快適なものに変える可能性を秘めています。ここでは、具体的な5つの活用シーンを紹介します。
活用術1:オンラインゲームのラグを最小限に
FPSや格闘ゲームなど、コンマ1秒の反応速度が勝敗を分けるオンラインゲームにおいて、VPNによる遅延(ラグ)は致命的です。しかし、ゲーム仲間とのコミュニケーションに使うDiscordなどのボイスチャットは、IPアドレスを隠してプライバシーを守りたい、というニーズもあります。
こんな時は、「選択したアプリのみVPNを使用しない」モードが最適です。ゲーム本体のアプリ(例:Valorant, Apex Legendsなど)を除外リストに追加しましょう。これにより、ゲームの通信は最速の通常回線で行われるためラグの心配がなくなり、同時にDiscordやWebブラウザの通信はVPNによってしっかり保護されます。
活用術2:ネットバンキングや国内サービスを安全に利用
海外サーバーに接続していると、日本のネットバンキングや金融系のサービス、一部の行政サービスなどが不正アクセス対策としてログインを拒否することがあります。毎回VPNを切断するのは面倒ですし、セキュリティも低下します。
この問題も、除外設定で解決です。お使いの銀行アプリや、TVer、radikoといった国内限定のストリーミングアプリを除外リストに追加しておけば、VPNを接続したままでも、それらのサービスだけは国内IPアドレスとして認識され、スムーズに利用できます。
活用術3:ローカルネットワークのプリンターやNASにアクセス
VPNに接続すると、PCはあたかも海外や別の場所にいるかのように振る舞います。そのため、自宅やオフィス内の同一ネットワーク(LAN)にあるプリンターやNAS(ネットワーク接続ハードディスク)にアクセスできなくなることがあります。
これも除外設定で解決可能です。プリンターの管理ソフトや、NASへのアクセスに使うファイルエクスプローラーなどを除外設定することで、VPNによるセキュリティを確保しつつ、ローカルデバイスとの通信も維持できます。
活用術4:ダウンロード速度を最適化
大容量のファイルをダウンロードする際、VPNを経由するとどうしても速度が低下しがちです。特に急いでいる時にはストレスになります。
もしダウンロードするファイルが信頼できるもので、プライバシーの心配がないのであれば、「選択したアプリのみVPNを使用する」モードを使い、ダウンロードマネージャーや特定のブラウザだけをVPNの対象外として利用する(あるいはその逆)といった運用が考えられます。これにより、重要な通信は暗号化しつつ、速度が求められる通信は高速なまま、という使い分けができます。
活用術5:複数の国のサービスを同時に利用
これは少し上級者向けのテクニックです。例えば、ExpressVPNをアメリカのサーバーに接続して現地のスポーツ中継を楽しみながら、同時に日本のニュースサイトをチェックしたいとします。
この場合、スポーツ中継を観るためのブラウザ(例:Chrome)はVPN経由のままにし、ニュースサイトを見るための別のブラウザ(例:Firefox)を除外設定します。こうすることで、ChromeはアメリカのIPアドレス、Firefoxは日本のIPアドレスとして動作し、2つの国のサービスをシームレスに同時利用できるのです。
まとめ:ExpressVPNの除外設定を使いこなし、VPNを次のレベルへ
この記事では、ExpressVPNの強力な機能である「除外設定(スプリットトンネル)」について、その仕組みから具体的な設定方法、実践的な活用術までを詳しく解説しました。
除外設定をマスターすれば、VPNの弱点であった速度低下や特定サービスとの非互換性といった問題を解消し、セキュリティと利便性をかつてないレベルで両立させることができます。オンラインゲーム、ネットバンキング、動画視聴、在宅ワークなど、あらゆるシーンでその恩恵を感じられるはずです。
設定は驚くほど簡単で、一度設定してしまえば後はExpressVPNが自動で通信を振り分けてくれます。もしあなたがExpressVPNユーザーでありながらこの機能を使ったことがないなら、非常にもったいないと言えるでしょう。
まだExpressVPNを体験したことがない方は、その多機能性と使いやすさに驚くはずです。VPNの基本的な使い方から料金プランまでを網羅的に解説した以下のガイドを参考に、ぜひ第一歩を踏み出してみてください。
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