「建設業の経理は特殊だから、普通の税理士だと話が通じない」。
こんな悩みを抱えている建設業の経営者や一人親方は少なくありません。
工事の進行基準や完成基準の判断、外注費と給与の区分、経営事項審査への対応など、建設業には他の業種にはない独自の会計処理が数多く存在します。
さらに2023年10月に始まったインボイス制度は、一人親方の働き方や取引関係に大きな変化をもたらしました。
2026年4月時点でも、制度対応に追われている方は多いのではないでしょうか。
「自分に合った税理士を見つけたい」「今の税理士に不満がある」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
建設業・一人親方の経理が「特殊」と言われる理由
工事ごとの原価管理が必要になる
建設業の経理で最も特徴的なのが、工事別の原価管理です。一般的な小売業やサービス業であれば、売上と仕入をシンプルに管理すれば済みます。しかし建設業では、一つひとつの工事に対して材料費・労務費・外注費・経費を紐づけて管理する必要があります。
特に複数の現場を同時に抱えている場合、どの経費がどの工事に対応するのかを正確に区分しなければ、工事ごとの利益率が見えなくなります。この原価管理ができていないと、「忙しいのに利益が残らない」という状況に陥りがちです。
建設業会計特有の勘定科目
建設業では、一般的な会計とは異なる勘定科目を使用します。売上高ではなく「完成工事高」、売上原価ではなく「完成工事原価」、仕掛品ではなく「未成工事支出金」といった具合です。建設業経理に慣れていない税理士の場合、これらの科目体系を正しく運用できず、経営事項審査(経審)で不利になるケースも見受けられます。
経営事項審査とは、公共工事の入札に参加するために必要な審査のことです。この審査では財務諸表の内容が点数化されるため、建設業会計のルールに則った正確な決算書の作成が欠かせません。
一人親方特有の税務リスク
一人親方の場合、税務上で最も問題になりやすいのが「外注費か給与か」の判断です。元請けから仕事を受けている一人親方が、税務調査で「実態は雇用関係である」と判断されると、外注費が給与に認定され、源泉徴収漏れや消費税の仕入税額控除の否認といった深刻な問題に発展します。
また、インボイス制度の導入により、免税事業者のままでいるか課税事業者になるかの判断も重要な経営課題です。2026年4月時点では経過措置期間中ですが、取引先との関係性や売上規模を踏まえた戦略的な判断が求められます。
建設業許可の維持と財務要件
建設業許可を取得・維持するためには、一定の財務要件を満たす必要があります。具体的には、自己資本が500万円以上であること、または500万円以上の資金調達能力があることが一般的な要件です。税理士がこの要件を理解していないと、決算の組み方次第で許可の更新に支障をきたす場合があります。
このように、建設業の税務・会計は業界特有のルールが多く、専門知識を持つ税理士に依頼することが経営の安定に直結します。税理士選びの基本的な考え方や費用相場については、税理士ドットコム完全ガイド記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
建設業に強い税理士を見極める5つのチェックポイント
チェック1:建設業の顧問先を何社抱えているか
最も確実な判断基準は、現在の顧問先に建設業がどれくらいあるかを直接確認することです。「建設業に強い」と謳っていても、実際の顧問先が1〜2社程度では十分な経験があるとは言えません。目安として、建設業の顧問先が全体の2割以上ある税理士事務所であれば、業界の商慣習や経理処理に精通している可能性が高いでしょう。
チェック2:経営事項審査(経審)の対応実績
公共工事の入札参加を視野に入れている場合、経審に対応できるかどうかは必須の確認事項です。経審では財務諸表の数値が直接点数に反映されるため、「どの勘定科目にどう計上するか」が評点を左右します。経審対策まで一貫して対応できる税理士であれば、決算時の戦略的な判断も期待できます。
チェック3:建設業許可申請の知識があるか
建設業許可の新規取得や更新、業種追加などに関する知識があるかも重要です。税理士自身が許可申請を行うわけではありませんが、財務要件との関連を理解していれば、許可維持を見据えた決算対策が可能になります。行政書士と連携体制を持っている税理士事務所であれば、なお安心です。
チェック4:インボイス制度への具体的な対応策を示せるか
「インボイス制度に対応しています」という一般的な回答ではなく、建設業の実情に即した具体的なアドバイスができるかを見極めましょう。たとえば、一人親方を多数抱える元請け企業であれば、下請けの免税事業者との取引をどう整理するか、経過措置終了後の対応をどうするかなど、業界特有の論点に踏み込んだ提案ができるかがポイントです。
チェック5:クラウド会計やデジタル化への対応
現場仕事が中心の建設業では、事務所に戻って経理作業をする時間が限られます。スマートフォンでの領収書撮影やクラウド会計ソフトを活用した効率的な記帳体制を提案できる税理士であれば、日々の経理負担を大幅に軽減できます。
なお、クラウド会計ソフトや各種業務ツールを外出先から安全に利用する際には、セキュリティ対策としてVPNの導入も検討する価値があります。特に現場と事務所を行き来する建設業では、公共Wi-Fiを使う場面も多いため、MillenVPNのような国産VPNサービスを利用すれば、会計データや取引情報を安全に扱うことができます。VPNについて詳しく知りたい方は、MillenVPN完全ガイドも参考にしてください。
建設業・一人親方の税理士顧問料の相場
一人親方(個人事業主)の場合
一人親方が税理士と顧問契約を結ぶ場合の費用相場は、以下のとおりです(2026年4月時点の目安)。
- 月額顧問料:1万円〜3万円
- 確定申告料:5万円〜15万円(年1回)
- 記帳代行を含む場合:月額5,000円〜1万円の追加
年間の売上が500万円未満の一人親方であれば、月額1万円〜1.5万円程度で対応してくれる事務所も見つかります。ただし、顧問料が安いからといって飛びつくのは禁物です。建設業の経理に不慣れな税理士に依頼した結果、税務調査で多額の追徴課税を受けたという事例も実際にあります。
建設業の法人(中小企業)の場合
法人として建設業を営んでいる場合の相場は、売上規模によって大きく変わります。
- 年商3,000万円以下:月額2万円〜4万円、決算料15万円〜25万円
- 年商3,000万円〜1億円:月額3万円〜5万円、決算料20万円〜35万円
- 年商1億円〜5億円:月額5万円〜10万円、決算料30万円〜50万円
経営事項審査の対応を含む場合は、別途5万円〜15万円程度の費用が加算されるのが一般的です。
顧問料が相場より高い・安い場合の注意点
相場より大幅に安い場合、記帳代行が含まれていない、面談が年1回のみ、建設業特有の処理に追加料金がかかるなど、サービス内容が限定されていることがあります。一方で、相場より高い場合は、経審対策や資金繰り支援、節税提案などの付加価値が含まれていないか確認しましょう。金額だけでなく、サービス内容と自社のニーズを照らし合わせることが重要です。
「今の顧問料が適正なのか判断できない」という方は、複数の税理士から見積もりを取って比較するのが最も確実な方法です。税理士ドットコムのような紹介サービスを利用すれば、建設業に強い税理士を無料で紹介してもらえるため、効率的に比較検討ができます。
建設業の税理士選びでよくある失敗パターン
失敗1:知人の紹介だけで決めてしまう
建設業界では、同業者や元請けからの紹介で税理士を選ぶケースが多くあります。しかし、紹介元にとって良い税理士が、自社にとっても最適とは限りません。紹介された税理士が飲食業やIT業界を主な顧問先としている場合、建設業特有の処理に対応できないこともあります。紹介はあくまで候補の一つとして捉え、必ず面談で建設業の知識を確認しましょう。
失敗2:顧問料の安さだけで選ぶ
月額1万円以下の格安プランに飛びついた結果、確定申告の時期に追加料金が発生したり、税務調査の対応は別料金と言われたりするケースがあります。特に建設業では、工事台帳の作成支援や経審対策など、他の業種にはないサービスが必要になるため、トータルコストで判断することが大切です。
失敗3:税理士を変更するタイミングを逃す
「長年お世話になっているから」「変更すると気まずいから」という理由で、不満のある税理士との契約を続けている方も多いのが現状です。しかし、建設業に疎い税理士のもとで何年も申告を続けた結果、経審の点数が本来より低くなっていたり、節税の機会を逃していたりする可能性があります。
税理士の変更は、決算期の2〜3か月前までに動き出すのがベストです。引き継ぎ期間を考慮すると、決算直前の変更は避けたほうが無難でしょう。変更先の税理士を探す際には、税理士ドットコムの無料紹介サービスが便利です。専門のコーディネーターが希望条件をヒアリングしたうえで、建設業に強い税理士を最短即日で紹介してくれます。登録税理士は全国7,300名以上、累計実績は43万件を超えており、業界特化型の税理士も多数登録しています。
自力で探す vs 紹介サービスを使う――どちらが最適か
自力で探す場合のメリット・デメリット
インターネット検索や地域の税理士会への問い合わせで自力で探す方法は、自分のペースで比較検討できるというメリットがあります。一方で、建設業に強いかどうかをホームページの情報だけで判断するのは難しく、面談を繰り返すうちに時間と労力がかかるというデメリットもあります。
紹介サービスを利用する場合のメリット・デメリット
税理士紹介サービスの最大のメリットは、希望条件に合った税理士を効率的に見つけられる点です。特に「建設業に強い」「経審に対応できる」といった専門性の高い条件で絞り込める点は、自力検索にはない強みといえます。
デメリットとしては、紹介サービスによっては登録税理士の質にばらつきがある場合があります。そのため、利用するサービスの実績や運営元の信頼性を事前に確認することが重要です。
この点で、税理士ドットコムは東証プライム上場企業である弁護士ドットコム株式会社が運営しており、月間約239万人が利用する日本最大級の税務相談ポータルサイトです。相談からマッチングまで完全無料で、面談後に断ることも自由なため、リスクなく利用できます。
こんな人には紹介サービスがおすすめ
- 建設業に強い税理士をピンポイントで探したい方
- 現在の税理士に不満があるが、変更先の見つけ方がわからない方
- 複数の税理士を比較して、顧問料の適正価格を把握したい方
- 忙しくて税理士探しに時間をかけられない一人親方
税理士の選び方全般について、費用相場の詳細やサービス比較をさらに深掘りした情報は、税理士ドットコム完全ガイド記事にまとめています。建設業以外の業種にも対応した内容ですので、あわせてご活用ください。
まとめ:建設業の税理士選びで押さえるべきポイント
建設業や一人親方が税理士を選ぶ際に最も重要なのは、「業界特有の経理処理を理解しているかどうか」に尽きます。ここまでの内容を整理すると、以下の点がポイントです。
- 建設業会計の勘定科目や工事別原価管理に精通しているか確認する
- 経営事項審査や建設業許可の財務要件を理解しているかを見極める
- インボイス制度への対応について、建設業の実情に即した提案ができるか確認する
- 顧問料は金額だけでなく、サービス内容とのバランスで判断する
- 知人の紹介だけに頼らず、複数の税理士を比較検討する
税理士選びは、経営の根幹に関わる重要な意思決定です。「なんとなく」で決めるのではなく、自社の課題とニーズを明確にしたうえで、それに応えてくれる税理士を見つけてください。
まずは税理士ドットコムで無料相談を利用し、建設業に強い税理士の紹介を受けてみるのが、最も効率的な第一歩です。納得できるまで何度でも紹介を受けられるため、焦らずじっくりと比較検討することをおすすめします。
